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イラン外相「米国との核交渉再開できる段階にない」

イランの核施設は12日間にわたるイスラエルとの戦争で大きな被害を受けたとされる。
米国のウィトコフ中東担当特使(左)とイランのアラグチ外相(AP通信)

イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相が米国との「効果的な」核交渉を開始できる状態にはまだないと表明した。国営イラン通信(IRNA)が20日に報じた。

それによると、アラグチ氏は首都テヘランの記者団に対し、「現時点で米国と効果的な交渉を行うことができるとは思えない」と述べたという。

またアラグチ氏は「国際原子力機関(IAEA)とのつながりを完全に断つつもりはない」と強調した。

イラン政府は今週初め、IAEAとのやりとりを続け、今後数日以内に新たな協議を行う予定であると明らかにしていた。

イラン政府は先月、IAEAとの協力を停止した。

イランの核施設は12日間にわたるイスラエルとの戦争で大きな被害を受けたとされる。

IAEAはイランの核開発計画、核兵器製造能力を破壊することを目的とした6月のイスラエルと米国の空爆の後、査察を再開しなければならないと主張してきた。

イランは核兵器の開発を否定。平和的なものであると主張している。

IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は核施設の査察を許可するよう求めてきた。

トランプ米政権とイスラエル政府はイランが核開発につながる可能性のあるウラン濃縮を再開した場合、再びイランを攻撃すると警告している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。

またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。

NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。

イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

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