◎スンニ派とシーア派が主導する両国の緊張は湾岸諸国の安全保障に深刻な影響を与えている。
2022年3月25日/サウジアラビア、西部マッカ州ジッダの石油備蓄基地(Hassan Ammar/AP通信)

中東のライバルであるイランとサウジアラビアが10日、外交関係を正常化することで合意した。

この予期せぬ発表は両国の高官が中国で会談した後に発表された。協議の内容は明らかにされていない。

サウジは2016年1月、首都リヤドでイスラム教シーア派の著名な聖職者を死刑に処し、これに反発したイランのデモ隊が在イラン・サウジ大使館を襲撃。サウジはこれに激怒し大使館を閉鎖、外交関係を断ち切った。

スンニ派とシーア派が主導する両国の緊張は湾岸諸国の安全保障に深刻な影響を与えている。

両国はお互いを脅威を見なしている。両国はレバノン、シリア、イラク、そして対立が最も明白なイエメンで互いのライバル勢力と手を結んでいるのだ。

イランは2014年、イエメンの大部分を実行支配するシーア派武装勢力「フーシ」への支援を開始。サウジは翌年、国連の支持を受けるイエメン政府を助けるためにフーシ派への空爆作戦を開始した。

サウジはイランがフーシ派に兵器や要員を送り、連合軍への攻撃をサポートしたと非難している。

両国の緊張は2019年のサウジ石油施設空爆で一気に高まった。サウジの石油施設は無人機・ミサイル攻撃を受け大きな被害を受けた。サウジと米国はイランを非難したが、イラン指導部は関与を否定している。

これまで和解の試みは失敗に終わっていたものの、サウジとイランは10日、2カ月以内に互いの国の大使館を再開すると発表した。貿易と安全保障の関係も再構築する予定だ。

米国を含む欧米諸国はこの決定を歓迎したが、ホワイトハウスは「イランが義務を果たすことに懐疑的である」とコメントを出した。

イランの宿敵イスラエルはコメントを出していない。イスラエル政府はイランの核開発計画を阻止するために最大限の圧力をかけるよう米国に迫っている。

2021年3月7日/イエメン、首都サヌア、サウジアラビア軍による空爆(ロイター通信)
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