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米イラン紛争で4500万人が飢餓状態に、国連WFPが警告


今回の危機の背景には戦争による複合的な影響がある。
2026年3月3日/イラン、首都テヘラン中心部の広場(AP通信)

イランを巡る戦争が世界的な食料危機をさらに悪化させる可能性が強まっている。国連世界食糧計画(WFP)は17日、戦闘が今後も続いた場合、2026年6月までに新たに約4500万人が急性の飢餓状態に陥る恐れがあると警告した。

WFPによると、すでに世界では約3億1900万人が深刻な食料不安に直面しているが、米イラン紛争の長期化によってその数は過去最悪の水準に達する見通しだ。WFPは声明で、「これは世界の飢餓をかつてないレベルに押し上げる」と強い危機感を示した。

今回の危機の背景には戦争による複合的な影響がある。2月末に始まった米国とイスラエルによるイランへの攻撃と、それに対する報復の応酬は国際的な物流やエネルギー供給網を大きく混乱させた。特に人道支援物資の輸送ルートが遮断され、紛争や貧困に苦しむ地域への食料供給が遅延している。

さらに、戦争は食料価格や燃料価格の高騰を引き起こしている。原油価格の上昇は輸送コストの増大につながり、WFPの輸送費はすでに約18%上昇したとされる。これにより、支援活動そのものが圧迫され、必要な地域に食料を届けることが難しくなっている。

価格上昇の影響は中東にとどまらず、アフリカやアジアの脆弱な地域にも及ぶ。多くの低所得国では食料や燃料の値上がりが家計を直撃し、最低限の食事すら確保できない人々が増加する可能性が高い。WFPはこうした地域の市民が最も大きな打撃を受けると指摘している。

また、各国政府が安全保障や防衛に資金を振り向ける傾向が強まっていることも、事態を悪化させる要因となっている。人道支援への資金拠出が減少すれば、食料配給や栄養支援の規模は縮小せざるを得ず、飢餓人口の増加に拍車がかかる。

もともと世界は気候変動や紛争、経済不安が重なる「複合危機」に直面しており、飢餓問題はすでに深刻な状況にあった。WFPはこれを「パーフェクトストーム(完璧な嵐)」と表現し、その上に今回の戦争が新たな打撃を与えていると分析する。

今回の警告は戦争の影響が単なる地域紛争にとどまらず、世界規模の人道危機へと拡大している現実を示している。食料供給網の維持と人道支援の確保が急務となる中、国際社会がどこまで協調して対応できるかが問われている。戦闘の長期化は最も弱い立場にある人々の命と生活を直撃することになる。

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