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イラン当局、「インターネット遮断」解除を検討中、経済活動に影響

これは反政府デモを押さえ込む中で情報統制を強化した措置の一部で、治安当局は「安全条件が整い次第」通信サービスを再開する可能性があるとしている。
2026年1月19日/イラン、首都テヘランの通り(ロイター通信)

イラン当局は19日、国内で昨年末から続く大規模デモに対応するために実施していた全国的なインターネット遮断の解除を数日以内に検討していると明らかにした。これは反政府デモを押さえ込む中で情報統制を強化した措置の一部で、治安当局は「安全条件が整い次第」通信サービスを再開する可能性があるとしている。インターネット遮断は1979年のイスラム革命以降で最も激しい抗議と弾圧の情勢の下で実行されたものであり、当局は依然として通信の制限を維持しているが、限定的な通信が可能な“フィルタネット”のような制御された接続の復旧が試みられているという。

この動きは、反政府デモを押さえ込む過程で国内外から批判が強まっていることや、通信遮断によって日常生活や経済活動への影響が広範に及んでいることを受けたものと見られている。人権団体や国際監視組織は、遮断は政府による情報統制と抗議活動の隠蔽を目的としたもので、死傷者の隠蔽にもつながっていると指摘している。遮断によって多くの国民・企業が経済活動を制限されている。

こうした中で、国営テレビの衛星放送がハッキングされる事件も起きた。このサイバー攻撃では一時的に番組が乗っ取られ、画面上に「イラン国家革命の真実のニュース」との見出しとともに、トランプ(Donald Trump)米大統領やレザ(Reza Pahlavi)元皇太子のメッセージが映し出されたとみられる。この映像は反体制側の意図を示すものとされ、国営放送の信頼性や治安当局の情報統制の脆弱性を象徴する出来事として国内外の注目を集めた。

抗議デモは昨年末に始まり、政府による弾圧で多数の死傷者が出ている。複数の報道機関や人権団体は、治安部隊が実弾や催涙弾でデモ参加者に対応した結果、数千人が死亡したと伝えている。当局側はデモ参加者を「外国勢力に煽動された武装集団」と非難し、過激な暴力行為があったとの主張を繰り返しているが、反体制派や人権団体はこれを否定している。

インターネット遮断については、政府内でも意見が分かれている。治安当局は反政府勢力による組織化や情報拡散を阻止する必要性を強調している一方で、経済界や一般市民からは遮断がビジネスや日常生活に重大な悪影響を与えており、再開を求める声が強まっている。首都テヘランを含む主要都市では通信の一部が断続的に復旧する場面も見られたが、依然として多くの地域でアクセス不能の状態が続いている。

今回のインターネット制限解除の検討は、国際社会からの圧力が高まる中で、制度的な情報統制を維持しつつも国内の不満を緩和する狙いがあるとみられる。また、国営放送のハッキング事件は情報戦争の側面が強まる現代の政治紛争の一端を示している。政府は状況を「制御下にある」と強調しつつも、抗議活動の沈静化と安定回復に向けた対応の難しさに直面している。

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