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イラン軍「原油価格1バレル=200ドル超える」世界に警告


イランの動きは米イスラエルがイラン本土への軍事行動を強化してきたことへの反発と位置づけられている。
2026年3月11日/オマーン湾沖に停泊する船舶(AP通信)

イランは11日、中東での軍事衝突が激化する中、原油価格が1バレル当たり200ドルに達するとの見通しを世界に示し、主要海路であるホルムズ海峡付近で商船に対する攻撃を続けている。イラン側は米イスラエルの軍事行動に対抗し、海上輸送に混乱をもたらすことで世界のエネルギー市場を不安定化させつつある。これにより国際原油価格は乱高下し、世界経済への影響が一段と強まっている。

イラン軍と革命防衛隊(IRGC)の共同作戦を計画・調整するカタム・アルアンビヤ中央司令部 (KCHQ)の広報担当は11日の声明で、地域の安全保障情勢が悪化する中、「原油価格は1バレル当たり200ドルに達するだろう」と警告した。イラン側はこれまでの報復行動を超えて敵対勢力に対する継続的な攻撃を展開する意向を示し、米国やイスラエル、これらと関係の深い国々に向けた油送の阻止を明言している。報道官は「海峡を通る石油タンカーは正当な攻撃目標とみなされる」と改めて強調した。

同日、ペルシャ湾およびホルムズ海峡周辺では少なくとも3隻の商船が何らかの発射体によって損傷を受けたと報じられている。この攻撃は国際海運の主要ルートを揺るがし、船舶の安全な通航を一層困難にしている。海峡を通過する原油・ガスの輸送は世界供給量の2割を占め、この水路の混乱が長期化すればエネルギー市場全体に重大な影響を与える可能性がある。

イランの動きは米イスラエルがイラン本土への軍事行動を強化してきたことへの反発と位置づけられている。この軍事作戦は数千人規模の死傷者を出し、依然として収束の兆しを見せていない。ホルムズ海峡周辺ではイランが機雷を敷設したとの情報もあり、海上封鎖の様相を呈しているとの指摘もある。

このような状況を受けて、IEAは世界の戦略石油備蓄を過去最大規模で放出する準備を進めている。加盟国は11日、4億バレルもの原油を供給することで合意し、供給不足による価格上昇を抑制する狙いだ。しかし市場では供給網の混乱が続く限り、こうした施策だけでは価格安定に十分ではないとの見方も出ている。

原油市場では先物価格が変動を続け、紛争の進展次第では価格上昇圧力が強まる可能性が残る。例えば原油先物は一時的に高騰した後に下落する場面もあるものの、需給不安を織り込んだ取引が続いている。投資家や産油国はこの不透明な情勢を注視している。

また、湾岸諸国の一部はホルムズ海峡に依存しない輸送ルートの強化を図る動きも進めているが、供給網全体の逼迫を補うには限界があるとの指摘がある。紅海経由の輸送増加などの措置が進む一方で、世界的な石油輸送の混乱を解消するには時間を要する見通しだ。

今回のイランの警告と一連の攻撃は、エネルギー市場と地政学的安定を脅かす要因として国内外の政策担当者に深刻な懸念を抱かせている。各国は価格高騰への対策を急ぐと同時に、中東地域の緊張緩和に向けた外交努力を強化する必要に迫られているが、現時点で戦闘終結や大規模な解決策は見えていない。

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