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イラン政府、「ホルムズ海峡」通航制限からイラクを除外


イランはホルムズ海峡を通過するイラク船舶については制限や封鎖の対象としないことを明言。イラン軍報道官はイラクを「兄弟国」と称し、同国の輸送活動を例外として認めると述べた。
2026年3月11日/オマーン湾沖に停泊する船舶(ロイター通信)

イラン戦争が世界のエネルギー供給に深刻な影響を及ぼす中、イランは4日、ホルムズ海峡の通航制限について、隣国イラクを対象外とする方針を明らかにした。イラン軍司令部は声明で、イラクを「兄弟国」と位置付け、イランが課している制限の対象からイラク船舶やイラクの輸送を除外すると発表した。こうした発言はイランが同海峡の統制を強化しつつも、一部特定国に対して例外的な配慮を行う姿勢を示すものである。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送の2割が通過する要衝であり、その安全な航行は国際エネルギー市場にとって不可欠である。2月末から始まった米国・イスラエルによるイランへの軍事行動を受けて、イランはこの海峡を通過する船舶を攻撃すると宣言した。これにより多くの原油・ガス輸送が滞り、国際エネルギー価格が急騰するなど、世界経済に重大な影響が出ている。

イランはホルムズ海峡を通過するイラク船舶については制限や封鎖の対象としないことを明言。イラン軍報道官はイラクを「兄弟国」と称し、同国の輸送活動を例外として認めると述べた。この方針変更はイラク政府とイランの関係が宗教的・歴史的にも深いことを背景に、エネルギー輸出経済への配慮や地域戦略上の調整を反映したものと見られる。

この「免除措置」はイラクにとって、経済的に大きな意味を持つ。イラクは世界有数の石油輸出国で、ホルムズ海峡を通じた原油輸送が通常ルートとして機能している。制限措置の対象外となることで、イラク産原油の輸出再開や増加が現実味を帯びるとの見方もある。ある報道では、最大で日量約300万バレルの日量輸出が可能になる可能性が指摘されている。

しかし、この発表は同時に地政学的・国際的な複雑さを浮き彫りにしている。イランは制限を免除する相手をイラクのみに限定し、他の国々については依然として制限を継続する姿勢を示している。米国や欧州各国はホルムズ海峡封鎖に強く反発し、通航再開圧力を続けている。米情報機関は同時に、イランが近いうちに制限を緩和する可能性は低いとの見方を示しており、全面的な封鎖解除は難しいとの分析も出ている。

またトランプ(Donald Trump)米大統領はイランに対し、ホルムズ海峡の全面的な解放を求め、応じなければ「地獄を見せる」と警告している。一方で、フランス政府は軍事力による海峡開放は非現実的だと述べるなど、国際社会の対応は分かれている。

イラン側は必ずしも通航制限を全面的に固定化しようとしているわけではなく、生活必需品輸送など一部の船舶に対して限定的な通過を認める例も報じられている。これらはエネルギー供給の維持や人道的配慮を意識した措置とも見られるが、全体としては海峡の不安定な状況が続いている。

イランがイラクを制限から免除する措置は、地域の同盟関係やエネルギー市場の動向に影響を与える可能性があるものの、ホルムズ海峡の全面的な安全確保や国際的な航行自由の実現にはなお多くの課題が残されている。エネルギー供給の不確実性と地政学的緊張の増大は国際社会全体にとって重い問題となっており、今後の外交・軍事的な駆け引きが注目される。

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