イラン最高指導者に故ハメネイ師の次男選出=国営メディア
後継者を選ぶのは、イスラム法学者らで構成される「専門家会議」で、憲法に基づき最高指導者を選出する権限を持つ。
と息子のモジタバ・ハメネイ氏(AP通信).jpg)
イラン国営メディアは8日、同国の最高指導者に故ハメネイ(Ali Khamenei)師の息子であるモジタバ・ハメネイ(Mojtaba Khamenei)氏が選出されたと報じた。最高指導者はイランの政治体制において国家の最高権力者であり、軍や司法、政府などすべての国家機関に対して最終的な権限を持つ。今回の決定は、ハメネイ師の死亡後に行われた後継者選定の結果とされる。
後継者を選ぶのは、イスラム法学者らで構成される「専門家会議」で、憲法に基づき最高指導者を選出する権限を持つ。国営イラン通信(IRNA)によると、この会議が長年有力な後継候補とみられてきたモジタバ師を新たな最高指導者に選出した。
モジタバ師は1969年生まれ、父ハメネイ師の側近として長年政治の中枢に関与してきた人物とされる。表立った公職にはほとんど就いてこなかったが、最高指導者事務所を事実上管理し、イラン革命防衛隊(IRGC)など強力な軍事・治安組織との関係を築いてきたとされている。こうした影響力から、以前から後継者候補の一人として名前が挙がっていた。
故ハメネイ師は1989年から30年以上にわたりイランの最高指導者を務めてきたが、米国とイスラエルによる軍事攻撃により死亡した。中東情勢が緊張する中での指導者交代となり、国内外で大きな注目を集めている。
最高指導者はイランの政治体制の中核を担う存在で、軍の最高司令官として軍事戦略や安全保障政策を決定するほか、司法や国営メディア、主要政策にも強い影響力を持つ。大統領や議会よりも強い権限を持つため、新指導者の方針は今後の国家運営や外交政策に大きく影響する。
一方で、父から子へ権力が移る形となる今回の人事には、国内外から懸念の声も出ている。イスラム共和国は王政を否定して成立した国家であり、事実上の世襲に近い形での権力継承は体制の理念と矛盾するとの指摘があるためだ。改革派や一部の宗教指導者の間では以前から反対意見も出ていたとされる。
イランは現在、米イスラエルとの軍事的緊張が高まる中にあり、ミサイルやドローン攻撃の応酬が続くなど地域全体の不安定化が進んでいる。新指導者の下でどのような対外政策が取られるのかは、今後の中東情勢を左右する重要な要素となる可能性がある。
モジタバ師の就任は、革命体制を支える保守強硬派の影響力が引き続き強いことを示す象徴的な出来事ともみられている。イラン国内では権力の再編と政治的安定の確保が課題となる一方、国際社会は新指導部の動向を注視している。
