イラン指導部、抗議デモへの対応に苦慮、トランプ圧力で懸念も
抗議活動は12月28日に首都テヘランで発生し、その後西部・南部の都市にも拡大した。
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イラン国内で年末から続く反政府デモをめぐり、指導部が鎮圧策と対応に苦慮している。抗議は当初、深刻な経済危機への不満を背景に始まったが、次第に体制への不満と怒りに発展している。これに加え、米国がベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を拘束したことが、イラン指導部の不安をさらに高めているとの指摘が出ている。
抗議活動は12月28日に首都テヘランで発生し、その後西部・南部の都市にも拡大した。抗議は物価高騰や通貨リヤルの急落など経済問題を発端としているが、「イスラム共和国打倒」や「独裁者に死を」といった体制批判のスローガンも聞かれるようになった。これまでに少なくとも17人が死亡したとの報告がある。
この抗議を受け、最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師は「敵が不安を煽っている」としてデモ参加者を牽制し、当局に暴徒を「締め付ける」よう指示した。一方で、政府は経済的要求は正当とし、対話による解決を呼びかけつつも、一部のデモ隊には催涙ガスで対応するなど強硬姿勢も見せている。
イラン政府内では、米国の対外政策への警戒感が強まっている。トランプ(Donald Trump)米大統領は治安部隊が市民を弾圧した場合、介入する可能性を示唆したほか、ベネズエラでの軍事行動を実行してマドゥロを米国に移送したことで、幹部の一部には「イランが次の標的になるのではないか」との懸念が広がっているという。
イラン経済は長年の米制裁で疲弊し、昨年にはイスラエルと米国による軍事攻撃で核関連施設が標的となった。これによってリヤルは急落し、インフレ率は高止まりのままだ。こうした経済的困難が抗議の根底にあるとの分析が強い。
政府は抗議と経済混乱を同時に抑えるため、国民の購買力保護や金融制度安定化策を打ち出しているものの、実効性には疑問が残るとの見方もある。例えば、来週から選定された食料品店で利用できる電子クレジット支給制度を開始する計画であり、特に低所得者にとって一定の支援になるとされる。しかし、1カ月の電子クレジットは額面で限られ、根本的な不満解消には至らないとの指摘もある。
イランと米国は核合意再開をめぐる交渉に双方とも「オープン」である姿勢を示してきたが、昨年の軍事衝突を受け協議は停滞している。今回の抗議と米国の対外行動は両国の関係改善をなお難しくする可能性がある。アナリストは指導部が経済改革と治安維持の両立を模索する中で、さらなる不安定化リスクを抱えていると分析している。
