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イラン政府「ミサイル能力に関する交渉には応じない」

米国は過去にもイランのミサイル開発を核合意の枠組みと関連付けるよう強く求めてきた。
イラン革命防衛隊のミサイル(ロイター通信)

イラン政府は11日、同国のミサイル能力について「交渉する余地はない」と改めて強調し、米国などとの外交交渉における「レッドライン(越えてはならない線)」と位置づけた。最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師の顧問がこの立場を表明し、両国間で進む核問題を巡る対話にミサイル問題を結びつけることを拒否した。

顧問はアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開かれたイスラム革命記念行事の席上で、「我が国のミサイル能力は交渉の対象ではない」と述べ、これを譲れない国の安全保障の柱として位置付けた。イランは制裁解除と引き換えに核開発計画の制限を協議する用意があると繰り返しているが、 弾道ミサイルや関連技術について取り上げることは拒否している。

この発言はオマーンで先週行われた米イランの間接協議を受けてのもので、両国は核合意再開や中東地域の緊張緩和を目的に対話の継続を模索している。ただし、米側は核問題だけでなく弾道ミサイル能力や地域における影響力も包括的な交渉に含めるべきだとの立場を堅持してきた。これに対し、イラン側はこれを拒否し、核に限定した協議を要望している。

米国は過去にもイランのミサイル開発を核合意の枠組みと関連付けるよう強く求めてきた。トランプ政権はイランが弾道ミサイル技術を用いて中東地域の緊張を高める可能性を懸念しており、包括的な枠組みでの制限が不可欠だと主張している。また、イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相も12日に予定されている米国訪問の際、トランプ(Donald Trump)大統領に対してミサイル問題を交渉議題に加えるよう求める意向だと報じられている。

イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は週末、「ミサイル計画は交渉の議題に一度も上がっていない」と述べ、これは公式な交渉対象ではないとの立場を再確認した。イランは自国の弾道ミサイル能力を「国防の核心」とみなし、これを外交交渉の交換条件にすることを拒んでいる。

この状況は米国が中東地域に海軍戦力を増強するなど軍事的圧力も背景にある中で進行している。米側はイランに対して核兵器や長距離ミサイル能力の放棄を促す姿勢を維持し、圧力と対話を並行させているが、イラン側の強硬な姿勢は交渉の進展を困難にしている。

専門家はイランがミサイル能力を交渉の対象外とする立場を明確にしたことで、核合意の交渉再開は限定的な範囲にとどまる可能性が高いと指摘する。イラン政府は核開発についてのみ協議する意向を示す一方で、弾道ミサイル計画や地域での軍事戦略は主権に関わる問題として譲歩しない姿勢を崩していない。これにより、中東情勢の不透明感が一段と強まるとの見方が出ている。

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