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イラン海軍がペルシャ湾で軍事演習、弾道ミサイル発射

この演習は2日間にわたって行われ、革命防衛隊(IRGC)は事前に設定された目標に対し、巡航ミサイル「Qadr‑110」「Qadr‑380」「Qadr‑360」、および弾道ミサイル「303」を一斉に発射した。
2025年8月20日/イラン国内で行われた軍事演習(ロイター通信)

イラン海軍がペルシャ湾および戦略的要衝であるホルムズ海峡を含む海域で大規模な軍事演習を実施し、模擬目標に対して弾道ミサイルと巡航ミサイルを発射した。国営イラン通信(IRNA)が5日に報じた。

それによると、この演習は2日間にわたって行われ、革命防衛隊(IRGC)は事前に設定された目標に対し、巡航ミサイル「Qadr‑110」「Qadr‑380」「Qadr‑360」、および弾道ミサイル「303」を一斉に発射した。さらにドローンによる模擬敵基地への攻撃も行われ、海上と沿岸の複合的な軍事能力を示す形となった。

演習は4日にホルムズ海峡とオマーン湾で開始され、2日目に大規模なミサイル発射とドローン攻撃が実施された。IRGCは最新の人工知能(AI)技術を導入した監視・指揮システムおよび、迅速な反応能力が整備されたと強調。「いかなる脅威に対しても揺るがぬ意志と即応力を示すものだ」とした。

今回の海軍演習は今年6月に発生したイスラエルとの紛争、その後の地域の軍事的緊張を受けた動きの一環とみられる。西側諸国の多くはイランの弾道ミサイル能力を地域の安定に対する脅威と捉えており、とりわけ核兵器に利用される可能性を警戒している。

一方、IRGCは同時期に北西部で行われた地上での対テロ演習にも参加したと報告されている。イラン当局はこの演習を「地域の平和と友好の象徴」と位置づけており、同時に「敵が攻撃を仕掛ければ決定的な対応をする」という警告を発することで、抑止力の誇示を兼ねている。

地域の安定と国際海上交通の要所であるホルムズ海峡周辺でのこうした演習は、世界のエネルギー供給や海上輸送に対する間接的な脅威ともなりかねず、国際社会の緊張は一層高まりそうだ。

今回の演習は防衛的性格を強調するイラン政府の立場と、外部に対する明確な軍事的メッセージとの双方を兼ねており、今後の中東情勢への影響が注目される。

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