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イラン指導部、米攻撃で抗議デモ再燃・政権転覆を懸念

反政府デモは1月初旬、経済悪化への不満などから激化し、1979年のイスラム革命以降で最も激しい弾圧が行われた。
2026年1月10日/イラン、首都テヘラン、政府に抗議する人々(ロイター通信)

イランの指導部は米国による軍事攻撃の可能性が国内の反政府デモを再燃させ、政権を危うくするとの懸念を強めている。複数の現役・元政府関係者が明らかにした情報によると、最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師は昨年末から続いた抗議デモに対する当局の弾圧が「恐怖心をもはや抑止力としない」との内部報告を受け、外部からの軍事圧力がさらなる混乱を誘発しかねないとの警告を受けたという。

反政府デモは1月初旬、経済悪化への不満などから激化し、1979年のイスラム革命以降で最も激しい弾圧が行われた。この弾圧で数千人規模の死傷者が出たことにより、国民の怒りは臨界点に達し、当局の抑圧に対する恐れが薄れているとの分析が複数の関係者から示された。ロイター通信は関係者の話しとして、「トランプ政権による限定的な空爆や指導者への攻撃が起きれば、多くの国民が再び治安部隊に立ち向かう可能性がある」と伝えている。

米国の狙いは軍事的打撃を通じて抗議デモ刺激し、反体制運動の勢いを加速させることだとされる。ある元高官は攻撃と抗議の同時進行が政権崩壊につながりかねないと指摘。「それが敵の望んでいることだ」と指摘した。こうした意見はイラン政府が公式に示す対外強硬姿勢とは異なり、内部には指導部の不安があることを示唆している。

米側ではトランプ(nald Trump)大統領がイランに対する軍事行動を選択肢として検討していると報じられている。複数の関係筋は治安部隊や指導者層への限定的な打撃を含む計画が議論されているとし、反体制運動を促進する目的があると伝えている。ただし、イスラエルや湾岸諸国らは空爆だけで政権転覆を実現することは困難だとの見解を示している。

一方、抗議デモを主導していた著名な改革派の元首相は、「国民の怒りは止まることなく歴史を変える」とする声明を発表している。この声明は抑圧を受けながらも依然として根強い反政府感情が存在することを示している。

現時点で街頭は表面的には落ち着きを見せているものの、経済的困難や腐敗、政治的抑圧といった根深い不満が依然解消されていないとの指摘もある。ロンドン在住のアナリストは、「これは終わりではないが、始まりでもない」と述べ、さらなる不満の蓄積が潜在的な危機の火種となっていると分析している。

たとえ米国による軍事攻撃が限定的であったとしても、国内での抗議再燃や政府による激しい弾圧が同時に進行すれば、暴力の激化や大規模な混乱を招きかねないとの懸念が専門家や内部関係者の間で強まっている。こうした状況は地域の緊張をさらに高め、イランの政治的未来に重大な影響を及ぼす可能性がある。

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