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イラン当局、抗議デモに参加した男性を処刑=国営メディア


男性は取り調べの中で、軍事施設に侵入・放火し、設備に損害を与えたほか、武器や弾薬を奪取しようとしたことを認めたとされる。
2026年1月10日/イラン、首都テヘラン、政府に抗議する人々(ロイター通信)

イラン当局は今年1月に発生した反政府抗議デモに関連して逮捕された男性1人の死刑を執行した。国営イラン通信(IRNA)が2日に報じた。それによると、この男性は首都テヘランにある機密性の高い軍事施設への襲撃に関与した罪で死刑判決を受けていた。

男性は取り調べの中で、軍事施設に侵入・放火し、設備に損害を与えたほか、武器や弾薬を奪取しようとしたことを認めたとされる。その後の裁判で死刑判決が言い渡され、最高裁もこれを支持したため、刑が執行された。今回の処刑は1月の抗議デモをめぐる一連の司法対応の一環と位置付けられている。

イランでは2025年末から2026年初頭にかけて、経済状況や政治体制への不満を背景に大規模な抗議運動が全国に広がった。これに対し当局は強硬な弾圧を行い、数万人規模の死傷者・拘束者が出たとされる。地元の人権団体は5000~6000人が死亡した可能性を指摘し、1979年のイスラム革命以降で最も深刻な国内不安の一つとなった。

司法当局は抗議参加者の一部について「モハレベ(神への敵意)」や国家安全保障を脅かす行為などの罪を適用し、厳罰で臨む姿勢を鮮明にしている。すでに複数の被告に対して死刑判決が確定・執行されている。3月には抗議中に警察官を殺害したとして有罪となった3人が処刑されるなど、取り締まりは一層強化されている。

司法当局は抗議関連事件について「寛容はない」と明言しており、判決が確定した案件から順次執行していく方針を示している。今回の処刑もこうした流れの中で実施されたもので、抗議運動の再燃を抑え込む狙いがある。

一方で、こうした対応に対しては国際社会から批判が強まっている。人権団体は被告が適正な手続きを経ずに裁かれた可能性や、拷問で自白を強制した疑いを指摘している。また、政治的な見せしめとして処刑されているとの見方もあり、透明性の欠如が問題視されている。

さらに、2026年に入ってからイランでは処刑件数が増加しているとの報告もあり、抗議活動参加者や政治犯とされる人々が対象になっている。こうした状況は国内の統治強化と同時に、米国との緊張関係が高まる中で体制維持を優先する姿勢の表れである。

今回の死刑執行は抗議運動後の統制強化を象徴する出来事のひとつで、イラン国内の人権状況や司法の在り方をめぐる議論が再燃している。今後も同様の判決や執行が続く可能性が高く、国際社会の監視と批判は一層強まる見通しである。

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