イラン、イスラエル諜報機関に情報提供した男の死刑執行
イランは長年にわたりイスラエルと「影の戦争」を繰り広げ、イスラエルにリンクした人物や諜報活動を助けたとされる者を多数殺害してきた。
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イラン当局は28日、イスラエルの対外諜報機関モサドのためにスパイ活動をしたとして死刑判決を受けた男の刑を執行したと発表した。この男は昨年4月29日に逮捕されたと伝えられている。国営イラン通信(IRNA)などが28日に報じた。
男はモサドが求める機密文書や情報を提供したとして「スパイ活動と諜報協力」の罪で死刑判決を受け、最高裁がそれを支持し、絞首刑に処されたという。
イランは長年にわたりイスラエルと「影の戦争」を繰り広げ、イスラエルにリンクした人物や諜報活動を助けたとされる者を多数殺害してきた。こうした諜報活動の摘発と処罰は、特に2025年6月に緊張が高まりイスラエルと米国がイランの核関連施設を攻撃した後、顕著になっている。
イラン政府はモサドが同国内でさまざまな破壊活動や情報収集を行っていると繰り返し非難しており、その一環として関与者を厳しく取り締まっていると主張している。報道によると、この男はオンライン活動を通じてイスラエル側の工作員に機密資料を送信したとされ、これが有罪の根拠になったという。
この死刑は人権団体や国際社会からの批判を呼ぶ可能性がある。権利団体は過去にも、イランの反スパイ法廷での手続きが公正さを欠いていると指摘し、強制的な自白に基づく判決や拷問の存在を問題視してきた。特にイスラエルとの対立が激化する中での死刑の増加は、内部の政治的緊張を背景にしているとの見方もある。
イランはイスラエルを国家として認めておらず、両国の関係は極めて敵対的である。イスラエル側はこれまでイランの核開発計画や地域内での軍事的影響力の拡大を強く警戒し、これが両国間の対立を深化させる背景となっている。こうした状況下で、両国は直接的な軍事衝突や情報戦を含む幅広い対立を続けている。
今回の死刑がイラン国内でどのような反応を呼んでいるかについては、当局側からの詳細な声明以外に明らかになっていない。ただし、同国では昨年からイスラエルとの関係を巡る緊張が国政や安全保障政策の中心課題となっており、今回のような死刑が国内外で議論を呼ぶ可能性は高い。
イランの処刑制度そのものも国際的には批判の対象となっている。特に死刑判決が政治的・軍事的な理由で下されるケースにおいて、透明性や公正な法的手続きを求める声が強まっている。今回の事件はイランとイスラエルの長引く対立の一側面として、今後も国際社会の注目を集めるとみられる。
