米イラン紛争でウクライナが窮地に?米防空システムの需要急増
中東全域で弾道ミサイルやドローンによる報復が続き、米軍の防空用ミサイルや迎撃システムの使用が急増している結果、ウクライナ向けの装備が不足する可能性が出てきた。
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米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦が、ウクライナ戦争に対する米国の兵器供給にリスクをもたらすとの懸念が高まっている。中東全域で弾道ミサイルやドローンによる報復が続き、米軍の防空用ミサイルや迎撃システムの使用が急増している結果、ウクライナ向けの装備が不足する可能性が出てきた。この問題はウクライナ側の防衛体制の弱体化を招きかねないとの指摘だ。
ロイター通信によると、イラン側から繰り返し発射されるミサイルやドローンを迎撃するために、米国製のパトリオットミサイルやPAC3ミサイルが大量に使われているという。これらの迎撃システムはウクライナがロシア軍のミサイル攻撃から重要インフラを守るうえでも中心的役割を果たしており、需要が高い。生産能力は現在年間約600ユニットにとどまっているが、将来的に2000ユニットまで増やす計画があるものの、即時の需要には対応できないとの見方がある。
米国防総省や関連企業は生産増強を進める方針だが、現状の製造ペースでは短期的な不足を回避するのは困難だとされる。イタリアなどの欧州諸国は、ウクライナ向けに予定されていた資源を中東の防衛要請に振り向けるような兵器供給の再配分には反対しているが、欧州外交当局者も兵器配備に関する制約が強まる可能性を警告している。
この懸念はウクライナだけでなく、米国内でも議論を呼んでいる。ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は中東情勢の緊迫化が欧米からの防空兵器供給に影響を及ぼす恐れがあるとの見方を示している。ゼレンスキー氏は3日、一部兵器が中東向けに使用されればウクライナが必要とするミサイル防衛能力が弱まる可能性があるとの懸念を表明した。
ウクライナはロシアによる大規模なミサイル攻撃に対応するうえで、特にパトリオットのような防空システムが不可欠である。これらの装備は通常、米国が欧州の同盟国と連携して購入・供与する方式で調達されているため、供給の遅れや優先度の変更は前線の守りを弱体化させかねないとの指摘もある。
実際、昨年のイスラエルとイランの12日間戦争でも、ウクライナ向け供給が一時的に遅れたとの報告があり、今回の紛争の長期化が新たな供給停滞を引き起こす可能性をゼレンスキー氏自身が懸念している。また「米国はウクライナ支援を最優先する必要がある」と述べ、支援の継続を訴えている。
一方で、米国防総省は兵器在庫の枯渇を否定し、現在の作戦に必要な備蓄は確保していると説明している。ただし、今後の紛争の進展や需要の急増次第では補給が追いつかなくなる恐れがあるとの声もある。今後、米国と同盟国は生産能力の強化と兵器供給のバランスをいかに保つかが重要な課題となる。
