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「原油高騰」と市場混乱に賭けるイラン、トランプ政権に圧力

長期化すればするほど、世界経済やエネルギー市場への影響も拡大し、国際社会を巻き込んだ消耗戦になる恐れが強まっている。
2026年3月9日/バーレーン、イラン軍の攻撃を受けた製油所(ロイター通信)

米国とイスラエルによる大規模空爆を受ける中、イランは軍事力での直接的な勝利ではなく、持久戦とエネルギー市場への打撃によって相手を疲弊させる戦略に賭けている。専門家や外交筋によると、イランは戦争を長期化させ、世界経済に影響を与えることで米国や同盟国の政治的意思を揺さぶる狙いだ。

今回の戦争は米国とイスラエルが2月末からイランの軍事施設や指導部を標的に大規模な空爆を開始したことで激化した。2月28日の空爆では最高指導・ハメネイ(Ali Khamenei)師が死亡し、体制は大きな打撃を受けたとされる。だがイラン側は迅速に権力体制を再編し、革命防衛隊(IRGC)が軍事作戦を主導する形で戦闘を継続している。後継の指導者にはハメネイ師の次男であるモジタバ・ハメネイ(Mojtaba Khamenei)師が選出された。

イランの基本戦略はミサイルや自爆ドローンによる攻撃を中東各地で展開し、特にエネルギーインフラや輸送ルートを揺さぶることにある。ホルムズ海峡などの重要な海上輸送路をめぐる緊張は世界の石油供給に大打撃を与え、市場の混乱を招いている。

この戦略の狙いは軍事的に優位な米イスラエルを直接打ち負かすことではない。むしろ、エネルギー価格の高騰や地域不安定化による経済的・政治的圧力を通じて、米国内や同盟国で戦争継続への支持を弱めることにある。イラン指導部、自国社会の方が長期的な苦難に耐えられると計算しているとみられる。

実際、激しい空爆にもかかわらず、首都テヘランでは体制崩壊の兆候や大規模な反政府運動は確認されていない。日常生活は制約を受けながらも続いており、外部からの攻撃を受けたことで国民の結束がむしろ強まっているとの指摘もある。

一方、米国はイランの軍事力壊滅を目指して攻撃を続けているが、戦争の行方は依然として不透明だ。仮にイランが軍事的に大きな損失を受けたとしても、体制が生き残ればそれ自体が戦略的勝利とみなされる可能性がある。

中東の緊張が続く中、専門家は最終的にどちらが先に政治的・経済的な負担に耐えられなくなるかが勝敗を左右するとみている。長期化すればするほど、世界経済やエネルギー市場への影響も拡大し、国際社会を巻き込んだ消耗戦になる恐れが強まっている。

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