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イラン当局、ノーベル平和賞受賞者モハンマディ氏を逮捕、弾圧続く

モハンマディ氏は北東部マシュハドで開催された人権弁護士の追悼式に出席していた際、治安当局に逮捕されたという。
イラン、ノーベル平和賞を受賞した女性人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏(AP通信)

イラン当局が2023年のノーベル平和賞受賞者である人権活動家モハンマディ(Narges Mohammadi)氏を逮捕した。同氏の支持者らが12日、明らかにした。

それによると、モハンマディ氏は北東部マシュハドで開催された人権弁護士の追悼式に出席していた際、治安当局に逮捕されたという。他の活動家も拘束されたとみられる。

モハンマディ氏は今年初めに亡くなった人権弁護士の追悼式に参加していた。この弁護士は過去に何度も当局から嫌がらせや拘束を受け、死因についてイラン内外で疑念が広がっている。地元当局は心臓発作と発表したが、80人以上の弁護士が詳しい説明を求める嘆願書に署名している。

現地で撮影された映像には、モハンマディ氏がマイクを手に集まった人々に向かって話す様子が映っており、ヒジャブ(イスラム教のヴェール)を着用せずに演壇に立っていた。支持者らによると、同氏は群衆に対し、2022年に公開処刑された人権活動家の名前を唱和するよう呼びかけていたという。

国営イラン通信(IRNA)は当局が追悼式で「規範破り」のスローガンが唱えられたことを理由に、検察の指示で複数の参加者を一時拘束したと報じている。

マシュハド市当局は声明を出し、拘束は群衆の安全を守るための予防的措置と述べたものの、それ以上の詳細には言及していない。

モハンマディ氏はこれまでイラン政府に対して繰り返し批判を続けてきた人物であり、女性の権利擁護や死刑制度廃止などを訴えてきた。支援団体によると、同氏はこれまでに13回逮捕され、5件の有罪判決を受け、累計で30年以上の禁錮刑が言い渡されている。

昨年12月に健康上の理由で釈放されていたが、当初予定された3週間を超えて社会活動を継続していた。支持者らは、モハンマディ氏が長年の拘禁で心臓発作を複数回経験し、骨の手術も受けていると明らかにしている。医療チームはさらに数か月の治療と心臓ケアが必要だとしており、刑務所への収監は健康に深刻な悪影響を及ぼす可能性があると懸念を示していた。

逮捕に対しては国際的な非難が強まっている。ノルウェーのノーベル委員会は「残虐な逮捕」として即時かつ無条件の釈放を求める声明を出したほか、多くの人権団体がイラン政府に対し、モハンマディ氏の安全確保と所在情報の公開を要求している。

今回の逮捕は同国が経済制裁や国内経済の悪化、地域情勢の緊迫化の中で知識人や活動家への取り締まりを強化している時期に発生した。西側諸国が核問題をめぐる新たな交渉を求める中での逮捕はイラン政府に対する国際的圧力を一段と高める可能性がある。

モハンマディ氏の処遇や再び服役するかどうかについて公式な情報は出ていないが、国内外の人権擁護者は彼女の釈放と公正な扱いを強く訴えている。

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