IAEA、2週間以内にイラン訪問へ、核査察再開目指す

イランとイスラエルの戦争終結後、イラン政府はIAEAとの協力を停止する法律を施行。IAEAはその後、イランに残っていた査察官を退避させた。
国際原子力機関(IAEA)のエンブレム(Getty Images)

イラン外務省は28日、国際原子力機関(IAEA)の実務者が2週間以内にイランを訪問する予定であると発表した。

IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は先週、イランとの技術的な協議を再開する準備ができていると発言していた。

外務省の報道官は声明で、「イランとIAEAとの協力に関する方針案が、そのような協力を制限する最近の法律に基づいて提出される予定である」と述べた。

この法律はIAEAによるイランの核施設に対する今後の査察について、「最高安全保障委員会の承認が必要である」と規定している。

IAEAはイランの核開発計画、核兵器製造能力を破壊することを目的とした先月のイスラエルと米国の空爆の後、査察を再開しなければならないと主張している。

イランは核兵器の開発を否定。平和的なものであると主張している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

IAEAはイランが保有する濃縮ウランの所在に懸念を示している。

イランとイスラエルの戦争終結後、イラン政府はIAEAとの協力を停止する法律を施行。IAEAはその後、イランに残っていた査察官を退避させた。

イラン政府はIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。

NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。

イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

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