IAEA「イランは核査察を許可すべき」米イラン協議続く中
IAEAは報告書で、昨年6月に米国とイスラエルが実施したイラン核施設への軍事攻撃が前例のない状況を生み出したとしている。
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国際原子力機関(IAEA)は27日、イランに対し全核施設への査察を直ちに許可するよう強く求める報告書を加盟国に提出した。これは来週予定されている同機関の理事会会合に先立ち配布されたもので、査察の必要性は「不可欠かつ緊急」と強調されている。報告書はイランが核開発活動に関する透明性を十分に確保していないとの懸念を改めて示している。
報告書は特に、中部イスファハンの地下サイトに注目している。この場所には20%および60%まで濃縮されたウランがトンネル複合施設内に保管されている可能性があるという。60%濃縮ウランは兵器級90%に近い濃縮へ技術的なステップを進める上で重要な段階で、核兵器開発に転用可能な状態であるとの懸念が国際社会で強まっている。イランはこの施設の正確な位置や稼働状況についてIAEAに情報を提供しておらず、報告書はこの点を「重大な懸念」と指摘した。
IAEAは報告書で、昨年6月に米国とイスラエルが実施したイラン核施設への軍事攻撃が前例のない状況を生み出したとしている。この攻撃によってナタンツやフォルドゥなどの主要な濃縮施設が破壊されたり損傷したりしたとされるが、攻撃後の査察が十分に行われていないため、イランが保有する高濃縮ウランの正確な量や所在を確認できていない。報告書によると、攻撃前の時点でイランは最大60%の濃縮ウランを440.9キログラム保有していたと推定され、これをさらに濃縮すれば複数の核兵器製造が理論的には可能な水準であったとしている。IAEAと西側諸国はこれらの大部分が未だ破壊されていない可能性があるとみている。
イラン政府はこれまで、核開発は平和目的であり核兵器開発の意図はないと主張しているが、IAEAは査察官の現地へのアクセスが制限されているため、核活動が平和利用に限定されているかどうかを確認できていないと報告している。IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は27日、査察への全面的なアクセス回復がなければ、イランの核計画が平和的であると保証することはできないとの見解を示した。
この報告は、現在進行中の米国とイランの核交渉と重なっている。両国はオマーンの仲介のもとスイス・ジュネーブで高官級協議を行ったが、主要な隔たりは埋まらず合意には至っていない。米側は核濃縮活動の停止や核物質の引き渡しを要求し、イラン側は平和利用の権利を主張して折り合いがついていない。協議は継続される予定だが、溝は依然として大きいと伝えられている。
IAEA理事会は3月上旬にウィーンで開催される予定。今回の報告は加盟国にとって核問題の評価と外交的対応を協議する重要な基礎資料となる。査察の再開や透明性向上を巡る国際的な圧力は今後一層強まる可能性がある。
