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ホルムズ海峡封鎖が世界の石油市場に与える影響、米イラン紛争

ホルムズ海峡はオマーンとUAEの間、そしてイランに挟まれた細長い海峡で、世界の石油および天然ガス輸送の重要なルートだ。
ホルムズ海峡を航行する石油タンカー(Getty Images/AFP通信)

米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃は中東の緊張を一気に高めると同時に、原油市場や世界経済に重大な影響を及ぼす可能性がある。両国の攻撃に対してイランは迅速に報復し、イスラエルやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、バーレーン、ヨルダン、サウジアラビア、イラク、オマーンなど地域各国で被害が拡大している。こうした情勢を受け、専門家や市場関係者は原油輸送の要衝である「ホルムズ海峡」を巡るリスクに警戒感を強めている。

ホルムズ海峡はオマーンとUAEの間、そしてイランに挟まれた細長い海峡で、世界の石油および天然ガス輸送の重要なルートだ。米エネルギー情報局(EIA)によると、同海峡を通じて日量約2000万バレルの原油が輸送されており、これは国際市場の2割に相当する。このほかジェット燃料やガソリン、ナフサなど多様なエネルギー製品の輸送も集中している。

イスラム革命防衛隊(IRGC)は米イスラエルの攻撃を受け、ホルムズ海峡を通過する船舶に対し「通航を許可しない」と高周波無線で警告を発しているとされ、これを受けて多くの企業が原油・LNG(液化天然ガス)船舶の航行を一時停止した。イラン当局は正式な封鎖を宣言していないものの、実質的な通航停止状態となっている。船舶追跡データによると、原油・LNGを含む150隻以上のタンカーがホルムズ海峡付近で停泊し、輸送が滞っている状況が報告されている。

このまま通航停止が長期化すれば、世界市場への供給が減少し、原油価格が急騰する可能性が高い。専門機関の分析では、ホルムズ海峡の完全封鎖は日量約1500万~2000万バレルの輸送を阻害し、原油価格を100ドル以上に押し上げるリスクがあると警告されている。また、原油価格の上昇はガソリンや天然ガス価格の高騰に直結し、世界的なインフレ圧力を強め、経済成長を鈍らせる要因となる可能性がある。特にアジア地域の輸入依存国では、石油供給の不安定化が生産コストや消費者物価に跳ね返る懸念が強い。

市場関係者はすでに反応を見せている。原油先物市場では価格の急上昇が予想され、投資家らは供給リスクを織り込んだ取引を進めているとの観測も出ている。加えて、ホルムズ海峡周辺の海運保険料が急騰し、船舶運航コストの上昇が避けられない状況となっている。

一方で、この地域の安定化を目指す国際的な取り組みも模索されている。各国政府や国際機関は海上輸送の安全確保と供給網の維持に向けた対策を協議しているが、事態の収束には時間を要するとの見方が広がっている。

こうした中、原油市場や世界経済への影響は今後の軍事・外交情勢次第で大きく変動する可能性があるとして、世界中の政府や企業が緊張感を高めて情勢を注視している。

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