◎イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で少なくとも16万人が死亡。子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。
2020年8月22日/イエメン、首都サヌア、シーア派武装勢力フーシの戦闘員(AP通信/Hani Mohammed)

イエメン政府は22日、首都サヌアに本拠を置くシーア派武装勢力「フーシ」が南部の港を空爆したと発表した。

国連の支援を受ける政府は声明で、「南部ムカラ近くの港に停泊していた商業船がドローンによる空爆を受けた」と報告したが、被害の有無は明らかにしなかった。

フーシ派の報道官は攻撃を実行したと認めている。

報道官はツイッターに声明を投稿。「南部の港に接近した石油タンカーを撤退させた」とツイートした。

地元メディアなどによると、タンカーは警告を無視して港に停泊を試みたという。

フーシ派は政府が石油輸出で利益を上げていることを問題し、製油所や石油ターミナルなどの完全掌握を目指している。

国連は先月、数カ月にわたる交渉の末、休戦協定の延長に失敗した。協定は4月2日に発効し、6月2日に延長され、8月2日の2度目の延長が決まったものの、10月2日に失効した。

フーシ派は協定失効後、ドローンによる攻撃を再開した。

イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で少なくとも16万人が死亡。子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。

イランの支援を受けるフーシ派は2014年、山岳地帯からサヌアと北部地域に押し寄せ、政府を追放した。

サウジ主導の連合軍はフーシ派の拠点を攻めつつサヌアなどにミサイルを撃ちこみ、インフラを破壊し尽くした。しかし、絶え間ない空爆と地上戦にもかかわらず戦闘は膠着状態に陥り、人道危機を引き起こした。

国連によると、国内の難民キャンプに身を寄せている市民は推定300万人。人口の3分の2が食料援助を受けている。

米国と国連は休戦協定の失効を非難し、「10月2日以降も協定は機能している」と主張している。

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