シリア南部スウェイダの医療現場ひっ迫、宗派間衝突で数千人負傷

スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
2025年7月25日/シリア、南部スウェイダ県の病院(ロイター通信)

世界保健機関(WHO)は26日、シリア南部スウェイダ県の医療機関にケガ人が殺到し、極めて厳しい状況に置かれていると明らかにした。

スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。

ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。

他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。

WHOシリア事務所の責任者はオンライン会見で、「スウェイダ県の病院は停電と断水が続く中、数えきれないほどのケガ人を受け入れている」と語った。

それによると、看護士やボランティアが医薬品を集めて何とか対処しているという。

イギリスのNGOシリア人権監視団は一連の戦闘で少なくとも903人が死亡し、数千人が負傷したと報告している。

暫定政府は衝突発生直後に軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府はその後、シリア軍がスウェイダに立ち入ることを許可した。

ベドウィンは20日までにスウェイダから撤退。国軍が治安維持任務に当たっている。

WHOは「多くの医療従事者が安全に職場にたどり着けず、主要病院の解剖室は今週、外傷患者の急増に対応する中、満杯になった」と述べた。

国連によると、一連の砲撃や銃撃などにより、スウェイダ全域で14万5000人以上が避難を余儀なくされ、その多くが首都ダマスカスなどの避難所に身を寄せているという。

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