ヒズボラ指導者が武装解除拒否、トランプ米政権の圧力に反発
イスラエルの後ろ盾であるトランプ米政権は現在、レバノン政府に対し、ヒズボラの武装解除を「確約」するよう圧力をかけている。
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レバノンの親イラン組織ヒズボラの最高指導者であるカセム(Naim Qassem)師は5日、イスラエルが同組織に対する軍事作戦を強化した場合、イスラエルに対するミサイル攻撃を再開すると警告した。
アウン(Joseph Aoun)大統領はこの日、ヒズボラの武装解除について議論する閣議を開いていた。
イスラエルの後ろ盾であるトランプ米政権は現在、レバノン政府に対し、ヒズボラの武装解除を「確約」するよう圧力をかけている。
これに対し、レバノン側はイスラエルによる軍事作戦を恒久的に停止するよう米当局に求めている。
カセム氏はテレビ演説で、「ヒズボラは現在の状況で武器の引き渡しに応じず、取引も拒否する」と主張した。
またカセム氏は「イスラエルに有利な”一方的な合意”に応じることはない」と強調。「敵が拡大すれば抵抗勢力が防衛し、軍が防衛し、国民が防衛するからだ」と述べた。
さらに、「イスラエルが攻撃を再開したり、ヒズボラに対する軍事作戦を強化した場合、イスラエル国内へのミサイルの着弾を招くだろう」と警告した。
イスラエルとヒズボラによる停戦協定は24年11月末に発効した。
イスラエル軍は協定発効後も首都ベイルートや南部を定期的に空爆。そのほとんどがヒズボラの戦闘員やその関連施設に対するものである。
イスラエルとヒズボラは停戦発効から60日以内にレバノン南部から部隊を撤退させ、その後、レバノン正規軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が南部を管理することで合意していた。
しかし、イスラエルはレバノン側が合意を守っていないと主張。撤退を拒否している。
ヒズボラはこの戦争で大打撃を受け、前最高指導者のナスララ(Hassan Nasrallah)師を含む指導部の大半と数千人の戦闘員を失った。
カセム氏は先月末、「イスラエルが武装解除に応じるのであれば、協議に応じる用意がある」と示唆した。
ヒズボラはイスラエルがレバノン全土から撤退し、攻撃を恒久的に停止するまで、武装解除の議論には応じないという立場を示している。
レバノン政府は現在、大打撃を受けた南部地域の再建や南部国境沿いの治安維持に奔走している。世界銀行はレバノンの復興費用を110億ドル以上と見積もっている。