レバノン・ヒズボラ、政府の武装解除計画を拒否、対立深まる
政府は現在、米国が支援する計画に沿ってヒズボラに武装解除を求めているが、ヒズボラとその支持者はこの計画に反対。対立が深まっている。
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レバノンの親イラン組織ヒズボラは6日、同組織の武装解除を目指すレバノン政府の計画について、「国が未知の領域へ陥るのを防ぎ、知恵と理性に立ち返る機会と捉えている」と表明した。
サラム内閣は5日、ヒズボラの武装解除を目指す軍計画を支持し、軍がその計画を開始すると表明した。ただし実施時期は明らかにしなかった。
政府は現在、米国が支援する計画に沿ってヒズボラに武装解除を求めているが、ヒズボラとその支持者はこの計画に反対。対立が深まっている。
ヒズボラは武装解除を拒否し、イスラエルに南部の占領地から撤退するよう求めてきた。
ヒズボラの幹部であるクマティ(Mahmoud Qmati)氏はロイター通信のインタビューで、「ヒズボラは5日の政府声明に基づき評価を下した」と説明。「イスラエルが攻撃を停止し、レバノン南部から軍を撤退させない限り、政府によるこの計画の実施は追って通知があるまで保留すべきである」と強調した。
またクマティ氏は米国が示したロードマップを改めて拒否。「レバノン政府が国防戦略を策定することを期待している」と述べた。
米国とサウジアラビア、そしてレバノン国内のキリスト教徒とスンニ派からなるヒズボラ反対派は同組織の武装解除を強く支持している。
イスラエル軍は3日、レバノン南部を空爆し、4人が死亡した。
政府報道官は5日の閣議後、声明で、「政府はこの計画を歓迎する」と述べたが、閣僚全員が支持したとは言わなかった。
ヒズボラに近いシーア派の閣僚5人は5日の閣議でこの計画の説明を聞くことなく退室した。
イスラエルとヒズボラによる停戦協定は24年11月末に発効した。
イスラエル軍は協定発効後も首都ベイルートや南部を定期的に空爆。そのほとんどがヒズボラの戦闘員やその関連施設に対するものである。
イスラエルとヒズボラは停戦発効から60日以内にレバノン南部から部隊を撤退させ、その後、レバノン正規軍とUNIFILが南部を管理することで合意していた。
しかし、イスラエルはレバノン側が合意を守っていないと主張。撤退を拒否している。
ヒズボラはこの戦争で大打撃を受け、前最高指導者のナスララ(Hassan Nasrallah)師を含む指導部のほとんどと5000人以上の戦闘員を失った。
レバノン政府はイスラエルの軍事作戦と占領の停止と引き換えにヒズボラを武装解除するという米国のロードマップについて、「イスラエル側がまだコミットしておらず、計画が実現するかどうかはイスラエル次第」と指摘している。