ヒズボラ、レバノン政府の武装解除計画を非難、応じない姿勢示す

イスラエルとヒズボラによる停戦協定は24年11月末に発効した。
2024年1月9日/レバノン郊外の軍事基地、ヒズボラの戦闘員(Hussein Malla/AP通信)

レバノンの親イラン組織ヒズボラの最高指導者であるカセム(Naim Qassem)師は6日、同組織の武装解除を目指すという政府の決定を強く非難し、応じない姿勢を鮮明にした。

ヒズボラは声明で米国の言われるがままに武装解除すれば、イスラエルに大きな勝利を与えることになると述べた。

またヒズボラは「武器に関する協議を行う用意はできている」と表明。イスラエルに対し、南部地域から撤退し、そこで生活するレバノン市民を解放するよう求めた。

アウン(Joseph Aoun)大統領は5日、国軍に対し、年末までに治安機関のみが武器を保有する計画を策定するよう要請した。

サラム(Nawaf Salam)首相はアウン氏と会談した際、「政府は国軍に対し、計画を月末までに作成し、議論と承認に備えるよう求めた」と語った。

イスラエルの後ろ盾であるトランプ米政権は現在、レバノン政府に対し、ヒズボラの武装解除を「確約」するよう圧力をかけている。

これに対し、レバノン側はイスラエルによる軍事作戦を恒久的に停止するよう米当局に求めている。

イスラエルとヒズボラによる停戦協定は24年11月末に発効した。

イスラエル軍は協定発効後も首都ベイルートや南部を定期的に空爆。そのほとんどがヒズボラの戦闘員やその関連施設に対するものである。

イスラエルとヒズボラは停戦発効から60日以内にレバノン南部から部隊を撤退させ、その後、レバノン正規軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が南部を管理することで合意していた。

しかし、イスラエルはレバノン側が合意を守っていないと主張。撤退を拒否している。

ヒズボラはこの戦争で大打撃を受け、前最高指導者のナスララ(Hassan Nasrallah)師を含む指導部の大半と数千人の戦闘員を失った。

カセム師は5日、イスラエルが同組織に対する軍事作戦を強化した場合、イスラエルに対するミサイル攻撃を再開すると警告していた。

ヒズボラは6日の声明で、「サラム政権がイスラエルに抵抗するための武器をレバノンから奪うという重大な罪を犯した」と主張。この決定はトム・バラック(Tom Barrack)駐トルコ大使の指示によるものであり、ヒズボラの武装解除はイスラエル・米国の侵略が続く中、レバノンを弱体化させると批判した。

レバノン政府は現在、大打撃を受けた南部地域の再建や南部国境沿いの治安維持に奔走している。世界銀行はレバノンの復興費用を110億ドル以上と見積もっている。

SHARE:
この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします