◎旧アフガニスタン政府は歳出の約75%を国際援助に頼っていた。
10月12日、G20の首脳は武装勢力タリバンの支配下に置かれたアフガニスタンの経済的大惨事を回避するために支援を提供すると約束した。
6億ユーロ(約780億円)の援助を約束しているドイツのアンゲラ・メルケル首相は、「主要国はアフガニスタンが経済的混乱に陥ることを許すべきではない」と述べた。
ジョー・バイデン大統領は、「援助はタリバンではなく、独立した国際機関を通じて提供すべき」と強調した。
仮想サミットを主催したイタリアのマリオ・ドラギ首相は記者会見の中で、8月のタリバン侵攻と連合軍の撤退以来初となる多国間協議の重要性を強調した。「私たちは人道援助の提供に向け、タリバンと交渉しなければなりません...」
ドラギ首相は記者団に対し、「タリバンは言葉ではなく行動で示さなければならない」と述べ、交渉を進展させるためには懸案事項のひとつである女性の権利を含む基本的人権の保障が欠かせないとタリバンに圧力をかけた。「先日発足したタリバン暫定政府は包括的ではありません。そして、私たちが見る限り、女性の権利は20年前(旧タリバン政権時代)に戻っています...」
国連はアフガニスタンの経済状況に強い懸念を示し、崩壊の危機に瀕していると警告した。
旧アフガニスタン政府は歳出の約75%を国際援助に頼っていた。しかし、主要な貸し手である世界銀行と国際通貨基金(IMF)はタリバンへの融資を拒否し、アフガニスタン中央銀行が米国で保有している資産推定100億ドル(約1.1兆円)は凍結された。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はアフガニスタンとその難民を受けている近隣諸国に10億ユーロ(約1,300億円)を援助すると発表した。
しかし、EUは現時点でタリバン暫定政府を合法な政府と認めることはないとくぎを刺している。
サミット後、メルケル首相はアフガニスタンの経済崩壊で得られるものは何もないと記者団に語った。「タリバンの扱いを決めることは容易ではありませんが、電力、通貨システム、そして食料を失った国民4,000万人を無視することはできません。経済システムが完全に崩壊すれば、人道援助を送ることも難しくなるでしょう...」
メルケル首相はタリバンに対し、アフガニスタンに援助を提供してきたすべての国連機関に活動許可を与え、基本的人権を尊重するよう要求した。
トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領はビデオ演説の中で、「国際社会はタリバンとの対話に向けた取り組みを維持し、より包括的な政府の確立に向けて忍耐強く対処すべき」と述べた。
またエルドアン大統領は、トルコはこれ以上難民の流入に悩まされることはないと強調した。「トルコへの難民流入はヨーロッパ諸国にも深刻な影響を与えるでしょう...」
トルコはシリア難民を360万人以上受け入れている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平 国家主席は代理を派遣したが、ドラギ首相によると、すべての加盟国がアフガニスタンへのさらなる援助の必要性に同意したという。
G20はアフガニスタンがアルカイダやイスラム国(ISIS)の潜伏拠点になることを防ぐ方法や、避難を希望する外国人およびアフガン人を安全に退避させる方法などについても協議した。