◎レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。
フランスとサウジアラビア政府は26日、レバノンの深刻な経済危機を緩和するプロジェクトの開始に合意した。
報道によると、合意は仏外務省、仏開発庁、サウジ人道支援・救援センター間で取り交わされ、最初の人道支援として約3000万ユーロ(約40億円)を提供し、さらに多くの支援プロジェクトを実施する予定だという。
サウジの駐レバノン大使は記者会見で、「フランスとサウジアラビアはレバノンの人々とともに立ち、その安定と発展に貢献することを約束します」と語った。
最初のプログラムは食料安全保障と医療制度に焦点を当てる。報道によると、プロジェクトチームは対象地域の住民7500人に毎月現金を給付し、北部トリポリの医療機関を支援し、貧困層に粉ミルクを配給する予定である。
残りのプログラムは、教育、エネルギー、水、安全保障に焦点を当てる。
レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。この数年で通貨は紙くずになり、目を覆いたくようなインフレに直面し、人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。
フランスとサウジは2月下旬、レバノンに対する共同支援プロジェクトを立ち上げることに合意した。
サウジはレバノンの政治的・経済的な後援者であり、ベイルートの観光経済を強化するために数十億ドルを投資してきた。
しかし、レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラがイランの支援に依存し始めたことや、湾岸地域の緊張が高まったことなどを背景に、両国の関係は急速に悪化した。
さらに、レバノンの情報相がイエメン内戦を批判したことで両国の関係は劇的に悪化した。サウジ主導の連合軍はイエメンのシーア派反政府武装勢力フーシと対峙している。
情報相は昨年9月の新政権発足前にイエメン内戦を「無益」と批判し、「フーシ派は外部の侵略者から身を守っている」と発言、サウジの逆鱗に触れた。イランはフーシ派に兵器を提供している。
情報相は12月に辞任した。
一方、サウジとレバノンの友好関係を構築したサード・ハリリ前首相は2月に政治活動を停止し、ハリリ氏の政党も5月15日の議会選に参加しない予定である。
一部のアナリストは、「サウジはレバノンが湾岸諸国への麻薬密輸を阻止するために努力したことなどを評価した」と指摘している。
しかし、5月の議会選で再びヒズボラ寄りの政権が誕生すれば、両国の関係はこじれる可能性がある。