◎サラメ氏は1993年から昨年までの30年間、中銀総裁を務めた。
レバノン、中央銀行のサラメ総裁(Getty Images)

レバノンの中央銀行の前総裁であるサラメ(Riad Salameh)が4日、4200万ドル(約60億円)を横領した罪で起訴された。現地メディアが速報で報じた。

サラメ氏は2日、複数の汚職事件に関与したとして、首都ベイルートの最高検察庁で取り調べを受けていた。

AP通信は司法当局者の話しとして、「サラメ氏は裁判所に移送された」と伝えている。

中央銀行はこの報道に関するコメントを出していない。

サラメ氏は1993年から昨年までの30年間、中銀総裁を務めた。

レバノンは2019年以来、近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。通貨は紙くずになり、市民は3桁のインフレに直面。人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

市民は国を事実上統治するイスラム過激派組織ヒズボラの数十年に渡る不作為が壊滅的な危機を招いたと非難している。

サラメ氏は15年にわたる内戦後の経済復興に尽力したとして広く称賛されてきたが、昨年、欧州数カ国が金融犯罪疑惑を捜査している中、雲隠れしたままポストを去った。

サラメ氏は汚職、横領、資金洗浄などの疑惑を否定。自分の資産について、米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチで銀行員として働いた時代に得たものと主張している。

APによると、サラメ氏は中銀の口座から別の口座に現金を送り、最終的に自分の口座に送金するために、オプティマム(Optimum)と呼ばれる会社を利用したという。

中銀の金融情報部門は取引明細書と財務書類を検察に提出している。

フランス、ドイツ、ルクセンブルグも横領や3億3000万ドルの資金洗浄の疑いでサラメ氏とその側近を捜査している。

米国、イギリス、カナダはサラメ氏とその側近を制裁リストに追加。フランスは国際逮捕状を発行している。

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