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ユーロビジョンが予算上の問題に直面、4カ国が辞退、イスラエル参加受け

辞退した国はスペイン、オランダ、アイルランド、そしてスロベニアの4か国。特にスペインは「ビッグ・ファイブ」に数えられる主要な後援国であり、経済的な衝撃は大きい。
欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」のロゴ(Getty Images)

欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」は来年の大会を巡り、予算上の問題に直面する可能性が出てきた。これはイスラエルの参加決定を理由に、複数国が辞退を表明したためである。

辞退した国はスペイン、オランダ、アイルランド、そしてスロベニアの4か国。特にスペインは「ビッグ・ファイブ」に数えられる主要な後援国であり、経済的な衝撃は大きい。主催団体EBUはイスラエルの26年大会への参加を認め、除外に向けた再投票を拒否した。

来年の大会はウィーンで開催される予定だ。主催者であるオーストリアの公共放送ORFは今回の離脱による影響を認めつつも、「大会が成立しないという事態にはならない」と楽観的な見方を示す。ORFは「複数国が参加しないのは財政的には痛手だが、予めその可能性を見込んで準備してきた」と述べた。

しかしながら、専門家らは今回のボイコットが視聴者数とスポンサー収入の双方に影響を与える可能性を指摘する。仮に参加国・放送国が減れば、その分コストの分担や収益構造が揺らぎかねないからだ。

一方で運営側は過去に不参加だった国(ブルガリア、ルーマニア、モルドバなど)が復帰の意向を示していることに期待を寄せており、これで穴埋めが可能との見方もある。

ただし、撤退した国々の経済規模は復帰を検討している国々を大きく上回るため、収入・視聴率の減少を完全にカバーするには難航が予想される。また、今回の一連の動きは芸術・音楽の祭典であるユーロビジョンが、もはや純粋な文化的イベントではなく、国際政治の影響を大きく受ける場になっていることを改めて浮き彫りにした。

一方でEBUは、政府や政治勢力が大会に影響を及ぼすことを抑えるための新たな規定を導入したと説明している。これにより、将来的な政治的干渉の抑制を図る姿勢を示した。

今後、ユーロビジョンは参加国や視聴者層の構成替え、収益モデルの見直し、スポンサーとの交渉見直しなどを求められる可能性が高い。文化イベントとしての存続と、政治や国際情勢をめぐる混乱との間で、どのようなバランスを取るのか。次回大会はそんな問いを抱えたものとなる。

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