◎ドイツは2014~15年のシリア難民危機時に欧州の中で最も多くのシリア難民を受け入れた。
ドイツを含む複数の欧州諸国がシリア難民の亡命・庇護申請の審査を停止している。
ドイツのフェーザー(Nancy Faeser)内務・国家相は9日、シリアのアサド政権が崩壊し、多くのシリア難民が帰国を希望しているという報道について、「現在の不安定な状況で今後の見通しを予測することは困難であり、帰還を促すことは現時点では考えていない」と述べた。
ドイツ移民難民局によると、9日時点でシリア移民・難民の申請約4万7000件の審査を一時保留している。同局は声明で「状況を再評価し、シリア人による亡命・庇護申請の審査を一時停止している」と述べた。
ドイツ内務省の報道官は記者会見で、「庇護の決定は様々なケースを考慮し、申請者の国の状況を評価することを含む」と指摘。「現在のシリアのように状況が不透明な場合、局は他の移民・難民のケースを優先して審査することも選択肢としてはある」と述べた。
ドイツ通信社(dpa)は9日、政府関係者の話しとして、「アサド政権崩壊が、特に2010年代半ばにドイツに支援を求めた多くのシリア人にとって、最終的にどのような意味を持つかを語るのは時期尚早だ」と報じた。
ドイツは2014~15年のシリア難民危機時に欧州の中で最も多くのシリア難民を受け入れた。
フェーザー氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「シリア難民の帰還の具体的な可能性を予測することはまだ不可能である」と書いた。
ドイツ内務省によると、10月31日時点で国内には97万4136人のシリア人が生活し、その大半が難民やその他の保護資格を持っているという。
ドイツの隣国オーストリア、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、フランスが9日、シリア移民・難民の亡命・庇護申請の審査を保留していると明らかにした。