EU、シリアに対する経済制裁を解除

EUは声明で、「アサド政権に関連する制裁と安全保障上の理由に基づく制裁を維持しつつ、さらに3月の暴力事件に関連した個人や団体に対する新たな制裁を導入する」と述べた。
ベルギー、ブリュッセルのEU本部(Getty Images)

EUは28日、アサド政権時代に科した対シリア経済制裁を解除した。

EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は先週、シリアに対する経済制裁を解除することでEU加盟27カ国が合意したと発表していた。

アサド(Bashar Assad)前大統領は昨年末、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

それ以来、HTSの指導者であるシャラア(Ahmed al-Sharaa、通称ジャウラニ)大統領が暫定政府を率いている。

EUは声明で、「アサド政権に関連する制裁と安全保障上の理由に基づく制裁を維持しつつ、さらに3月の暴力事件に関連した個人や団体に対する新たな制裁を導入する」と述べた。

またEUは「現地の情勢を継続的に監視し、シリアにおける人権侵害や不安定化を助長する者に対して追加の制裁を科す用意がある」と付け加えた。

米財務省も先週、シリア暫定政府・中央銀行・国有企業との取引を許可する命令を発行。これにより、アサド政権時代に科された制裁は緩和され、シリアへの投資が可能になった。

シリア北西部ラタキア県では3月、暫定政府を支持する民兵とアサド派の武装勢力による戦闘が激化し、1300人以上が死亡したとされる。EUはこの争乱に関与した個人・組織に制裁を科した。

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