◎レバノンではシリア難民に対する敵意が高まっており、その結果、キプロスやイタリアに渡る移民が急増した。
EUは2日、レバノンに対する10億ユーロ(約1620億円)の支援策を発表した。
これはレバノンから地中海を渡ってキプロスやイタリアに向かう移民の流れを食い止める取り組みのひとつである。
EUはエジプト、チュニジア、モーリタニアといったアフリカ諸国の国境警備も支援している。
レバノンではシリア難民に対する敵意が高まっており、その結果、キプロスやイタリアに渡る移民が急増した。
EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長とキプロスのフリストドゥリディス(Nikos Christodoulides)大統領は首都ベイルートを訪問し、ミカティ(Najib Mikati)首相と会談した。
EUによると、10億ユーロは24~27年の移民対策に充てられるという。
その大部分は(7億3600万ユーロ)はシリア難民およびその他の脆弱なグループの支援に充てられる。2億ユーロは国境および移民管理を実施する治安当局の強化に充てられる予定だ。
フォンデアライエン氏は記者会見で、「EUは国連機関と緊密に協力しながら、シリア難民の自発的帰還に向けたより体系的なアプローチに取り組む」と強調した。
またフォンデアライエン氏は「EUは難民を欧州に再定住させるための合法的な道筋を維持し続ける」と述べた。
ミカティ氏は支援を称賛したうえで、「レバノンの安全保障は欧州の安全保障、その逆もまた然りであり、危機の拡大はレバノンにとどまらず、欧州にまで及ぶだろう」と述べた。
昨年キプロスに到着した移民は22年比で37%減少したものの、シリアとレバノンからボートで密航した移民は355%増加。22年の937人から4259人に急増した。
イタリア南部ランペドゥーサ島とチュニジアは150kmほどしか離れておらず、移民のホットスポットになっている。