◎スウェーデンのクルド人抗議者たちは今月、エルドアン大統領のマネキンを吊るし、コーランの写しを焼いた。
2023年1月23日/トルコ、首都アンカラ、エルドアン大統領(Turkish Presidency)

トルコエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は29日、NATOに加盟を申請している北欧2カ国について、フィンランドの加盟申請書を先に批准する可能性があると示唆した。

トルコ政府はスウェーデン国内でイスラム教の聖典コーランの写しが焼かれるなど、反トルコデモが相次いでいることに怒りを表明している。

トルコ政府はクルド人が主導する反トルコデモとイスラム教を侮辱する行為がスウェーデン以外でも報告されていることを受け、欧州各国の渡航警戒レベルを引き上げた。

スウェーデンのクルド人抗議者たちは今月、エルドアン氏のマネキンを吊るし、コーランの写しを焼いた。オランダでも同様のデモが行われている。

このデモ後、トルコはスウェーデンのNATO加盟を支持しないと表明し、スウェーデン政府に「さらなる行動」を呼びかけた。

スウェーデンとフィンランドは昨年5月、NATOに加盟を申請した。NATO加盟には現加盟30カ国の承認が必要だ。

エルドアン氏は地元メディアが29日に公開した映像の中で、フィンランドの加盟申請のみ批准する可能性があると示唆した。

またエルドアン氏は「スウェーデンはショックを受けるだろう」と述べ、政府が求めているクルド人武装勢力の引き渡しや反トルコデモを取り締まらなければNATO加盟はないという立場を鮮明にした。

トルコはテロ組織に指定しているクルド労働者党(PKK)などの武装勢力の身柄引き渡しをNATO加盟の条件のひとつとしている。

先週の抗議デモ後、エルドアン氏はスウェーデン政府に対し、「NATO加盟は期待しない方がいい」と警告した。

またトルコ政府はスウェーデンとフィンランドのNATO加盟について協議するブリュッセルの会合を無期限延期した。

一方、トルコ外務省は29日、自国民に対し、欧州各国のデモ地域に近づかないよう勧告。人種差別やヘイトに直面した場合は速やかに地元当局に報告するよう呼びかけた。

また同省は米国内で丸腰の黒人男性が警察官5人に暴行を受け死亡した事件に対する抗議デモが広がっていることにも言及し、自国民に警戒を促した。

北欧4カ国(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク)は前日、トルコへの渡航を計画している自国民に対し、デモ地域を避けるよう勧告していた。

2022年4月13日/スウェーデン、首都ストックホルム、アンデション首相(左)とフィンランドのマリン首相(Paul Wennerholm/TT/AP通信)
アフィリエイト広告
スポンサーリンク