SHARE:

エジプトとシリア、ガス供給に関する覚書締結、復興支援へ

この覚書はシリアへの電力用ガス供給と石油製品の供給を目的としており、地域のエネルギー協力を強化する狙いがあるとしている。
エジプトの海岸線(ロイター通信)

エジプト政府は5日、シリアとの間で天然ガス供給に関する2件の覚書を締結したと発表した。それによると、この覚書はシリアへの電力用ガス供給と石油製品の供給を目的としており、地域のエネルギー協力を強化する狙いがあるとしている。

1つ目の覚書はシリアの発電用途向けに天然ガスを提供するための枠組み協力協定である。この供給はエジプト側の既存インフラを活用し、浮体式再ガス化設備(FSRU)やガス輸送ネットワークを通じて実施される予定だという。ただし、供給されるガスの量や時期については現時点で公表されていない。

2件目の覚書は、シリアの石油製品需要に対応するもので、ガスだけでなく燃料供給の協力にも言及している。これによりシリア国内のエネルギー供給基盤の強化や、14年に及ぶ内戦で破壊されたインフラの復旧支援を念頭に置いた技術協力も視野に入れた内容となっている。エジプト側はエネルギー分野における技術支援やインフラ再建への協力可能性についても協議したとしており、単なる供給協定に留まらない広範な協力関係構築を意図している。

シリアは2011年に始まった内戦によってエネルギーインフラが大きく損傷し、発電能力が大幅に低下してきた。これまでアゼルバイジャンやカタールからのガス供給が部分的に電力事情を改善してきたが、需要を満たすには至っていない。今回のエジプトとの協定は、戦後復興に向けた支援の一環と見られ、シリアの電力供給改善やエネルギー安全保障の向上に寄与する可能性があるとみられている。

エジプト側はこの覚書締結を、同国が中東・北アフリカ地域のエネルギーハブとしての役割を強化する戦略の一部として位置付けている。エジプト政府は2025年末にもレバノンやキプロスとのガス協力協定を進めるなど、複数の国とのエネルギー連携を拡大してきた。この一連の動きは、地域のエネルギー供給網の統合や安定化を意図した政策努力の一環でもある。

今回のエジプト・シリア間の協定は、地域情勢の複雑さを反映しているとの指摘もある。シリアは長年の内戦と国際的な制裁下にあり、経済・インフラ両面で依然として深刻な課題を抱えている。エネルギーの安定供給は同国の復興に不可欠だが、輸送ルートや制裁対応など、多くの障壁が存在するとの分析もある。こうした中での覚書締結は、両国間の外交的・経済的協力関係深化の象徴といえる。

エジプトは今後具体的な供給スケジュールや量、輸送方法などの詳細を詰めていくとし、シリア側との協議を継続する方針を示している。また、他国との協力可能性についても引き続き探っていく意向を示した。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします