◎シリアの被害の全容はいまだに明らかになっておらず、アレッポ県を含むトルコと国境を接する地域ではアサド政権の空爆が再開され、危機に拍車をかけている。
2023年2月6日/シリア、北部アレッポ県、地震で倒壊した建物(Omar Sanadiki/AP通信)

1年前にマグニチュード7.8の大地震に見舞われたシリアの被災地が厳しい現実に直面している。

北部アレッポ県の住民は空爆には慣れているものの、大地震による住宅の倒壊には対応できなかった。

昨年2月6日に発生した大地震ではトルコとシリアで5万9000人以上が死亡。国連はシリアの死者数を6000人と推定しているが、捜索活動はほとんど行われておらず、一部の専門家はこの数倍の市民が死亡した可能性があると指摘している。

この大地震はすでに蔓延していた貧困をさらに悪化させ、病院や電気・水道などのインフラを破壊。内戦で住まいを失った市民の避難所も壊滅的な被害を受けた。

シリアの被害の全容はいまだに明らかになっておらず、アレッポ県を含むトルコと国境を接する地域ではアサド政権の空爆が再開され、危機に拍車をかけている。

2011年のアラブの春は内戦に発展。北西部の反体制派が支配する地域で戦闘が激化し、50~60万人が死亡、国土の大部分が廃墟と化した。

イギリスのNGOシリア人権監視団によると、北西部の反体制派が支配する地域はここ数年で最悪の状況にある。アサド政権とロシア軍による空爆により、昨年8月以来、数十人が死亡、10万人以上が避難を余儀なくされた。

地震で避難を余儀なくされた市民は約80万人と推定されている。復興の目途は全く立っていない。

世界銀行はシリア北部の被害額を50億ドル以上と推定している。

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