イエメン移民船転覆、死者86人に、行方不明者の捜索続く
船がいつ転覆したかは明らかになっていない。
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イエメン沖で移民を乗せた船が転覆した事故について、イエメン南部当局は5日、これまでに86人の死亡が確認されたと明らかにした。
国連の専門機関である国際移住機関(IOM)は3日、イエメン沖で移民を乗せた船が転覆し、少なくとも68人が死亡、74人が行方不明になっていると明らかにしていた。
ロイター通信はイエメン南部の分離独立を目指す「南部暫定評議会(STC)」に近い安全保障筋の話しとして、「86人の死亡が確認され、行方不明者の捜索が続いている」と報じた。
それによると、この船には少なくとも170人が乗っていたとみられ、うち42人が救助されたという。
IOMのイエメン事務所は3日、AP通信の取材に対し、「エチオピア人154人を乗せた船がイエメン南部アビヤン州沖のアラビア海で転覆した」と述べていた。
船がいつ転覆したかは明らかになっていない。
アフリカ東部・タンザニアのザンジバル諸島やIOMを含む国際機関が行方不明者の捜索を行っている。
アフリカ北東部・ジブチとイエメンの距離は最も近い地点で26キロほど。多くの移民がボロボロの木造船や頼りないゴムボートなどで横断を試みる。
IOMによると、このルートは人身売買組織の支配下にあり、女性や子供が標的になっている。男性はイエメンの戦地に送られることもあるという。
イエメンにたどり着いた移民は徒歩でUAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアを目指す。湾岸諸国から帰国する者は同じルートを逆にたどる。
2023年にイエメンにたどり着いた移民は9万7200人、21年の3倍に急増した。
IOMによると、24年は6万1000人弱まで減少。ジブチは同盟国や国際機関と連携してこの海域のパトロールを強化している。
IOMはこの海域を「世界でも最も混雑し、危険な移民ルートのひとつ」と評している。
IOMによると、この海域では過去10年間で2000人を超える移民が行方不明になっている。昨年は少なくとも558人が死亡した。