シリア・アレッポで国軍とSDFの戦闘激化、統合協議進まず
アレッポ市内のクルド人居住地区とその周辺では、政府軍とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の間で激しい砲撃戦や戦闘が続き、民間人の避難が相次いでいる。
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シリア北部アレッポで政府軍とクルド勢力との間の衝突が激化し、両者の関係悪化が深刻化している。アレッポ市内のクルド人居住地区とその周辺では、政府軍とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の間で激しい砲撃戦や戦闘が続き、民間人の避難が相次いでいる。
現地メディアによると、衝突は6日に再び激しくなり、少なくとも数人の民間人が死亡、多数が負傷したとされる。翌7日も砲撃は収まらず、地元保健当局は民間人の死者と負傷者が増加していると明らかにした。戦闘員の死者も出ているという。
今回の衝突でアレッポからの避難も大規模になり、地元当局によると、市内および周辺地域で4万5000人以上が避難を余儀なくされたという。多くは北西部のクルド人支配地域へ向かっているとされる。政府は危険区域から住民を安全に移送するための人道的避難回廊を設け、バスなどを使って避難支援を行っている。
政府側はSDFの拠点を「正当な軍事目標」と見なして攻撃していると公表し、ロケットやドローン、砲撃による攻撃への対応だと主張している。一方、SDFは政府軍の攻撃を「無差別かつ危険なエスカレーション」と指摘し、民間人の安全を脅かしていると非難している。双方とも相手側が戦闘開始の責任を負うべきだと主張し、互いに責任を押し付け合う状況が続いている。
この衝突は、暫定政権とクルド勢力の間に以前から存在する深刻な溝を象徴するものだ。シャラア暫定政権は2025年中にSDFを国軍に統合することで合意したが、その後進展はほとんどなく、統合プロセスは停滞している。SDF側は長年にわたり北シリアを事実上の自治地域として統治してきた経緯があり、全面統合への抵抗が強い。これが両者間の不信感を増幅させ、今回のような衝突につながっているとの指摘がある。
米国は調停役として両者の間に入り、エスカレーションの抑制と交渉再開を目指していると伝えられている。SDFの高官も国際的な仲介が必要と述べているが、具体的な進展は見られない。交渉の停滞は緊張を高め、停戦合意の実効性を弱めている。
この情勢悪化は、トルコとの関係にも影響を及ぼす可能性がある。トルコはSDFを他のクルド系武装組織との連携を理由に「テロ組織」と見なし、度々軍事的圧力をかけてきた。シリア内でのクルド勢力と政府の対立が激化することで、トルコが軍事行動を強めるリスクも指摘されている。
アレッポは内戦下でも長らく重要な要衝として機能し、これまでも複数の勢力が支配を巡って衝突してきた。今回の政府・SDF間の戦闘激化は、地域の不安定化をさらに進める恐れがあり、国際社会や周辺国による緊張緩和の取り組みが一層重要になっている。
