◎ネタニヤフ氏は汚職疑惑で公判中だが、極右政党と手を組むことで力を取り戻した。
イスラエルの連邦議会で29日、政党「リクード」率いる新連立政権が発足し、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)氏が首相に返り咲いた。
ネタニヤフ氏は就任演説で、「イスラエル市民の権利を保護し、平和を追求する」と誓った。
アナリストはネタニヤフ氏のカムバックにより、パレスチナ人と少数派の権利が著しく損なわれるのではないかと懸念している。
ネタニヤフ氏は連立政権を称賛し、「我々はイスラエルの統治、平和、安全を取り戻す」と語った。
ネタニヤフ氏は野党議員が「民主主義は死んだ」「破滅の始まり」などとヤジを飛ばすと、「野党の皆さん。選挙に負けても民主主義は死にません」と応戦した。
ネタニヤフ氏は汚職疑惑で公判中だが、極右政党と手を組むことで力を取り戻した。同氏は疑惑を丸ごと否定している。
議会議事堂前には新政権の発足に反対するデモ隊数百人が集まり、「恥」「人種差別反対」「ネタニヤフを逮捕しろ」などと書かれた看板を掲げて抗議した。
AP通信の取材に応じた女性は、「あの男たちはLGBTQ+(性的少数者)を弾圧する可能性がある」と語った。
超国家主義政党「宗教シオニズム」のスモトリッチ(Betzalel Smotrich)党首は財務相に就任する。財務省はヨルダン川西岸地区における入植地建設を主導している。
またスモトリッチ氏はパレスチナ人の生活に深く関与する民政局も監督する予定だ。
超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)党首は安全保障政策に欠かせない警察を取りまとめる治安相を務める。同氏は人種差別とテロ組織を支援した罪で有罪判決を受けたことがある。
パレスチナ自治政府の報道官は29日、ヨルダン川西岸の入植地開発計画は湾岸地域全体に深刻な影響を与えると警告した。
ネタニヤフ氏のパートナーたちはヨルダン川西岸にパレスチナの独立国家を建設するという国際的に支持されている和平案に強く反対している。
一方、人権団体はパレスチナ問題だけでなく、少数派の権利が脅かされると懸念を表明している。
一部の閣僚はユダヤ教の戒律に基づいてLGBTQ+の権利を定める必要があるという見解を示しており、国内から懸念の声が上がっている。
極右政党の一部議員は反LGBTを公言しており、プライドパレードの禁止や軍隊における女性の機会均等にも否定的だ。
さらに、国内の移民をユダヤ法の解釈に基づき、ユダヤ人に限定すべきと主張する議員もいる。
アナリストや企業経営者などは差別的な法律が施行され、宗教的な理由でユダヤ人以外の雇用が禁じられたり、LGBTQ+に対する差別が非犯罪化される恐れがあると警告している。