オーストラリア政府、シリアISIS難民の帰還報道を否定
この問題の対象となっているのは、シリア北東部の難民キャンプに収容されている34人のオーストラリア人女性と子どもたちとみられる一団である。
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オーストラリア政府は22日、地元メディアが報じた「シリア北東部の難民キャンプにいるイスラム国(ISIS)戦闘員の家族の帰還を政府が進めている」とする報道を明確に否定した。政府はそのような公式な準備や協議は一切行っていないと強調している。
この問題の対象となっているのは、シリア北東部の難民キャンプに収容されている34人のオーストラリア人女性と子どもたちとみられる一団である。このグループは先週、何らかの「技術的な理由」により一度キャンプ外に出た後、再び施設に戻されたと伝えられている。女性たちは今後、首都ダマスカス経由でオーストラリアへ帰国する可能性があると噂されたが、政府はこれを認めていない。
バーク(Tony Burke)内相は地元紙が「政府が帰還の準備を進めている」と報じたことについて、オーストラリア放送協会(ABC)のインタビューで、「政府が帰還準備を進めているという報道は事実無根だ」と述べた。また、「州政府と帰還に向けた協議を行っているという報道も誤りだ」と強調した。
アルバニージー(Anthony Albanese)首相も同様の立場を示している。アルバニージー氏は22日、政府がこの一団の帰還を支援することはないと述べ、政府としての関与を否定した。政府内にはISISの支持組織との関係が疑われる者の帰還に対する強い慎重姿勢があり、安全保障上のリスクを重視する声が根強い。
ISISはオーストラリアでもテロ組織に指定され、同組織への参加や支援は最大25年の禁固刑に処される重罪だ。複数国籍者の場合、政府はISISへの関与が確認されれば市民権剥奪の権限も持つ。これらの法律と安全保障上の懸念が、政府の厳しい姿勢を支えている。
この問題はオーストラリア国内でも政治的な論争を引き起こしている。特に右派・反移民政党の支持が高まる中、ISIS関連の家族を帰還させるべきではないという声が与野党問わず強い。政府内には国民の安全を最優先する姿勢を崩さない考えがあり、帰還に向けた具体的な計画は現時点で示されていない。
一方で人権団体や支援者らは、難民キャンプでの生活環境の劣悪さや、子どもたちが過酷な環境で育っている現状を批判し、政府に対して人道的観点から介入を求めている。キャンプ内の状況は食料や医療の不足、治安の悪化が報告され、国際機関や人道団体が改善を訴えているが、政府は安全保障上のリスクと国内世論を勘案しつつ対応を続ける方針だ。
政府は「公式な帰還措置は行っていない」とする立場を繰り返し表明し、今後もこの方針に基づいた判断が続く見込みである。
