SHARE:

パレスチナ・ベツレヘムのクリスマスツリー点灯、ガザ紛争始まって以来初

ベツレヘムはイエス・キリストの生誕地として知られているが、過去2年間、クリスマス行事を中止してきた。
2025年12月6日/パレスチナ自治区、ヨルダン川西岸地区ベツレヘム(ロイター通信)

パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のベツレヘムで6日、ガザ紛争が始まって以来初めてクリスマスツリーの点灯式が行われた。

ツリーは午後8時直前に点灯。約2年ぶりに広場に光が戻った。

ベツレヘムはイエス・キリストの生誕地として知られているが、過去2年間、クリスマス行事を中止してきた。

当夜、ヨルダン川西岸やイスラエル国内からも多くのパレスチナ人が訪れ、広場を埋め尽くした。67歳のパレスチナ人女性はロイター通信の取材に対し、「数年ぶりに見に来た。楽しみたかった」と語り、笑顔を見せた。

しかし一方で、かつてのような花火などの派手な演出はなく、点灯後は静けさが残った。これは、将来への不安と痛みが依然として人々の胸にあることを示していた。

この2年間、ベツレヘムはガザ戦争の影響で経済や観光が壊滅的な打撃を受けていた。多くのホテルが空き室となり、お土産物店は閉まり、失業と貧困が広がった。道には新たな検問所が設けられ、北西岸地域では多数の住民が家を追われた。そうした状況の中、店主の一人は「この数年は地獄のようだった」とまで語っている。

それでも、住民には「今年のクリスマスと新年に、平和への小さな一歩を」との期待があった。ベツレヘム市長は「ガザの人々の苦しみは我々の苦しみ。光は、パレスチナ中の苦しむ人々の心に届かなければ意味がない」と述べた。ある女性は「私たちは希望を探している。今から平和と繁栄が訪れてほしい」と語った。

今回のツリー点灯はかつての日常の復活ではなく、不安の中でも「未来への小さな灯り」をともす試みだ。爆撃と制限が続く中、ベツレヘムの人々は慎ましいが確かな希望にすがり、再び祭りの光を共有した。だが、その光の裏には、今もなお続く紛争、経済的困窮、不透明な日々があることもまた、はっきりと映し出されていた。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします