EU外相がイスラエルへの制裁示唆、人道支援の円滑化求める
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は22日午前の時点で5万9106人、負傷者は14万2511人となっている。
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EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は22日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区における人道支援の円滑化に関する公約を果たさない場合、あらゆる選択肢を検討すると述べ、制裁を科す可能性があると示唆した。
カラス氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「ガザで援助を求める民間人を殺害することは、決して許される行為ではない」と批判した。
またカラス氏はイスラエルのサール(Gideon Saar)外相との協議に言及。「援助の流れに関する約束に基づき、イスラエル軍は配布拠点での殺害を止めなければならない」と強調した。
カラス氏は今月初め、イスラエルがガザへの人道支援のアクセス拡大、援助物資を運ぶトラックの数、国境検問所、配布拠点へのルートの増加に合意したと明らかにしていた。
それ以来、国連の物資を積んだトラックのガザ地区への立ち入りは拡大されたが、犠牲者の数も増え続けている。
20カ国以上の西側諸国は21日、イスラエルに対し、ガザでの戦争を直ちに終了するよう求め、パレスチナ人に対する「非人道的な攻撃」を批判。援助を求めて移動する中、数百人のパレスチナ人が配給所とその周辺で殺害されたことに深刻な懸念を表明した。
ガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で死亡した市民は1000人を超えた。
地区内では餓死者も急増しており、配給が順調に進んでいないことを示している。
飢饉のリスクが劇的に高まる中、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。
トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。
イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、「ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦」を提案する用意があるとしている。
イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。
ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。
トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。
ハマスは過去の協議でも「恒久的な停戦」を求めてきた。
一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。
ハマスの報道官は先週末、イスラエルとの停戦交渉について、「すべての人質(遺体含む)を解放し、恒久的な停戦合意を締結する用意があると繰り返し表明してきたが、イスラエルがこれを拒否している」と主張した。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、60日間の停戦が成立した場合、ハマスは10人の人質と18人の遺体を段階的に返還することになる。
イスラエルはその見返りとして、国内の刑務所に拘留しているパレスチナ人を釈放する。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は22日午前の時点で5万9106人、負傷者は14万2511人となっている。
多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。