シリア・スウェイダに援助物資到着、人道状況悪化
スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
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国営シリア・アラブ通信(SANA)は28日、27台の大型トラックからなる輸送隊がスウェイダに入ったと報じた。
それによると、この一団は国連や国際赤十字社・赤新月社連盟などで構成され、200トンの小麦粉、2000個の避難所キット、1000個の食料バスケットのほか、医薬品やその他食料を運び込んだという。
スウェイダでは2週間前、アラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊および民兵が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。
他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。
地元当局は一連の戦闘で少なくとも903人が死亡、数千人が負傷したと報告している。
国連は先週、スウェイダの公共インフラがこの戦闘で破壊され、人道状況が悪化していると警告。国際社会に支援を呼びかけていた。
SANAが報じた映像には物資を積んだトラックが砂漠地帯にある検問所を通過する様子が映っていた。
国連、赤十字、暫定政府、その他NGOがさらなる支援物資を用意している。
暫定政府は衝突発生直後に軍を派遣したものの、ドルーズ派の保護を名目にイスラエル軍が軍事介入したため、いったん撤退。イスラエル政府はその後、シリア軍がスウェイダに立ち入ることを許可した。
ベドウィンは20日までにスウェイダから撤退。国軍が治安維持任務に当たっている。
停戦は概ね維持されているが、国連人道問題調整事務所(OCHA)はスウェイダの人道状況について、「不安定な状況と散発的な戦闘により、依然として深刻なままである」と指摘している。
国連によると、一連の戦闘により、スウェイダ全域で14万5000人以上が避難を余儀なくされ、その多くが首都ダマスカスなどの避難所に身を寄せているという。