◎世界銀行は契約に基づき、タリバンではなく国連機関である世界食糧計画(WFP)とユニセフに直接資金を送金する。
2021年11月26日/アフガニスタン、ヘラート州の郊外にあるカマルカラグ村(Getty Images/AFP通信)

国連の人道支援責任者によると、世界銀行はアフガニスタンへの融資を再開することに合意したという。

マーティン・グリフィス事務次長は9日、AP通信のインタビューの中で、「世界銀行はアフガニスタンの食糧と医療サービスを回復するために、2億8,000万ドル(約320億円)の融資に合意した」と述べた。

世界銀行は契約に基づき、タリバンではなく国連機関である世界食糧計画(WFP)とユニセフに直接資金を送金する。

世界銀行は9日の声明で、「両機関はアフガニスタンの国民に直接サービスを提供できる体制を確立している」と述べ、タリバンではなく国連に資金を提供すると強調した。声明によると、資金の内訳はWFPが1億8,000万ドル、ユニセフが1億ドル。

世界の主要な金融機関はタリバンのアフガン占領に伴い、融資を凍結した。米国はアフガン中央銀行が米国内に保有していた資産約95億ドルを凍結している。

アフガニスタンの銀行システムは世界の大部分から切り離されており、タリバンは深刻な現金不足に見舞われ、公務員に給与を支払えなくなった。

その結果、国の経済活動は停止し、食糧と医療不足は深刻な人道的危機を引き起こした。国際通貨基金(IMF)によると、アフガニスタンのGDPは今年、最大30%縮小する可能性があるという。対外援助はアフガニスタンのGDPの約45%、年度予算の約75%を占めていた。

世界食糧計画(WFP)は、児童少なくとも300万人が年末までに深刻な栄養失調に直面すると予想している。

グリフィス事務次長はAP通信に、「世界銀行、国連、米国政府は危機に対処すべく、多大な努力を払っている」と述べた。国連によると、グリフィス事務次長は12月21日にワシントンD.C.を訪問し、アントニー・ブリンケン国務長官と問題について協議する予定だという。

グリフィス事務次長は、「国連は来年1月末までに7億ドル(約800億円)の対外援助を確保したいと思っている」と述べた。また、米国務省と安全保障理事会はアフガニスタンの国民を救うために、経済制裁の一部を緩和し、人道的免除を与えなければならないと強調した。

グリフィス事務次長は現金が底をつき食糧と医療サービスが停止すれば、世界は最悪の事態を目撃することになると警告した。「私たちは指数関数的な勢いで経済崩壊が進んでいるところを目撃しています。事態は日を追うごとに悪化し、子供はお腹を空かせ、その多くが飢餓に直面しています...」

タリバンは資金凍結と外貨の取引禁止を解除するよう米国に呼びかけているが、女性の権利を含む基本的人権を保障しないタリバンへの風当たりは強く、旧政府規模の対外援助を確保できる見通しは立っていない。

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