◎国連によると、昨年末時点で100万人以上の子供が餓死の危機に瀕し、人口の約90%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。右肩下がりで、8月以降、あらたに50万人が失業し、特に女性の失業率は極めて深刻。
1月19日、アフガニスタンを統治する武装勢力タリバンは昨年8月の軍事クーデター以来、国の収支は改善し、汚職は著しく減少し、輸出額は10億ドル(約1,150億円)に達したと明らかにした。
タリバンは19日にカブールで開催された経済会議で新政府の成果を強調した。会議にはムハンマド・ハッサン・アフンド首相を含むタリバンの高官だけでなく、民間企業の経営者や学者も出席したと伝えられている。
国際社会は8月15日のカブール陥落後、タリバンの資産を凍結し、援助を停止した。米国はアフガン中央銀行が米国内に保有していた資産約95億ドル(1兆円)を凍結している。
また国際社会はタリバン政府を公式に認めておらず、イスラム法に基づく厳しい規則と弾圧を推進した旧タリバン政権のような状態に戻ることを懸念している。
国際労働機関が19日に公表した報告書によると、アフガニスタンの経済は右肩下がりで、8月以降、あらたに50万人が失業し、特に女性の失業率は極めて深刻だという。
2020年時点で国内の女性の5人に1人が職に就いていたが、一部地域の指導者は女性の就労を認めていない。タリバンは今年3月までに全国の女子生徒を学校に戻すと約束したものの、地方の指導者はこの方針も拒否している。
国連によると、昨年末時点で100万人以上の子供が餓死の危機に瀕し、人口の約90%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。また国連は、「飢餓状態に陥っている推定870万人は生命の危機に瀕している」と警告した。
それでもタリバンのアフンド首相は、「新政府は一定の成果を上げている」と強調した。「輸出は初めて10億ドルに達し、公務員の給与を支払うこともできました。私たちの政策は機能しつつあります」
またアフンド首相は国際社会に資産の凍結解除を求め、「アフガニスタンに対する援助は政府ではなく国民のために使われる」と述べた。「国際社会の援助は貧しい人々に提供されます。今すぐ凍結を解除してください」
アフガニスタンの現金不足に対する懸念は日を追うごとに高まっている。
米国のバーニー・サンダース上院議員は19日、ジョー・バイデン大統領に直訴するツイートを投稿した。「アフガニスタンは人道的大惨事に直面しています。バイデン政権はアフガンの資産凍結を解除し、人道機関に対する援助を再開すべきです」
タリバンは汚職を厳しく取り締まることで国の収益は大幅に改善したと主張した。「私たちの汚職を根絶するという努力は成果を上げ、国の経済を押し上げました...」
旧アフガニスタン政府は広範囲にわたる汚職に長年悩まされてきた。国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルは2020年、アフガニスタンを世界で最も腐敗した国のひとつにランク付けした。
アフンド首相は演説の中で、「私たちは旧政府のために働いた人々、タリバンを恐れて逃亡した人々や専門家、その他のすべてのアフガニスタン人との信頼関係を構築するために努力しなければならない」と述べ、国際社会に支援を呼びかけた。
「私たちはアフガニスタン人のために働き、信頼関係を構築し、国際社会と協力し続けることを熱望しています...」
一方、文化情報局の局長は19日、タリバンの元司令官であるモハマド・アミール氏とその息子、および2人の関係者がクナル州北部で武装勢力の襲撃を受け射殺されたと発表した。