◎バイデン政権はアフガン中央銀行が米国内に保有していた資産約70億ドル(約8,000億円)を差し押さえている。
2022年2月12日/アフガニスタン、首都カブール、ジョー・バイデン大統領の大統領令に抗議する人々(Hussein Malla/AP通信)

2月12日、アフガニスタンの首都カブールでジョー・バイデン米大統領の大統領令に抗議するデモが開催された。

バイデン大統領は11日、アフガン中央銀行の資産70億ドル(約8,000億円)のうち35億ドルを9.11遺族の支援に充てる大統領令に署名した。残りの35億ドルは国連管理の信託基金としてアフガン国民の援助に充てられる予定。

バイデン政権はアフガン中央銀行が米国内に保有していた資産約70億ドルを差し押さえている。

カブールのモスクに集まった数十人は、アフガニスタン戦争で死亡した人々に対する補償を米国に求め、中央銀行の資産をタリバンに返還するよう訴えた。

西側諸国は昨年8月以来、基本的人権を保障しないタリバンへの援助を停止している。

アフガン中央銀行は12日、バイデン大統領に大統領令を覆し、資金を解放するよう求めた。「同行の資金はアフガニスタン国民のものであり、政府、政党、団体のものではありません...」

旧アフガン政府の財政を支援したファルハディ氏も、国連がアフガン中央銀行の資産を管理することに疑問を呈した。ファルハディ氏はツイッターに、「準備金は人道援助ではなく、アフガンの経済と金融政策のためのものです」と投稿した。

またファルハディ氏は大統領令の合法性にも疑問を呈した。「バイデン大統領の決定は一方的であり、国際法に違反しています。国際法は他国の準備金の没収を認めていません」

9.11の遺族はアフガン中央銀行の資産を補償に充てるよう裁判所に求めている。同行は約90億ドル(1兆円)の資産を海外に保有しており、残りの20億ドルは主にドイツ、UAE、スイスにある。

デモを主催した男性はAP通信の取材に対し、「アフガニスタンを見殺しにしないでください」と訴えた。「銀行のお金はアフガニスタンのものであり、米国のものでありません。返してください」

タリバンの報道官も11日のツイートでバイデン大統領を非難した。

11日の大統領令はアフガニスタンで嵐を巻き起こし、「#USA stole money from afghan(米国はアフガンからお金を盗んだ)」がトレンド入りした。一部のユーザーは、9.11の実行犯はアルカイダではなくサウジアラビアとツイートしている。

アメリカ主導の連合軍は2001年10月にアフガニスタンからアルカイダやタリバンを含むジハード組織を追放した。その中には9.11同時多発テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。

それでも、一部のアナリストは大統領令に疑問を呈した。

米国に拠点を置くウィルソン・センターのアジア副支局長を務めるクーゲルマン氏は、大統領令を「残酷」と評した。「アフガンに新たな人道支援35億ドルが拠出されることは素晴らしいと思います。しかし、銀行の資産はアフガン国民のものであり、それを別の分野に流用することは見当違いで、率直に言って残酷です」

しかし、米国を含む西側のソーシャルメディアユーザーは大統領令にほとんど反応しなかった。

世界貿易センタービルの崩壊で長男を亡くした男性はAP通信に、「70億ドルすべてを遺族の支援に充てるべき」と述べた。「半分は遺族や関係者の支援活動に、残り半分は遺族に公平に分配してください」

9.11の遺族少なくとも500家族はタリバンを含む複数の組織を相手に訴訟を起こしており、アフガン中央銀行の資産の取り扱いに介入する手続きを進めている。ニューヨークに拠点を置く弁護団は11日の声明で、すべての遺族を平等に取り扱う必要があると強調した。

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