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アフガン・タリバン、タジキスタンへの越境攻撃で協力約束、中国人労働者3人死亡

標的はタジク南部にある中国企業の作業キャンプで、被害にあったのはいずれも中国人労働者だった
タジキスタン、アフガニスタン国境近くの集落(Getty Images)

アフガニスタンのタリバン暫定政権は28日、隣国タジキスタンで起きた越境攻撃により中国人労働者3人が死亡、1人が負傷した事件について、深い遺憾と強い非難の意を表明した。

タリバンの報道官は声明で、関係各国に対して全面的な協力を行う姿勢を示した。具体的には、情報共有や技術協力、合同調査を通じて事件の原因究明を進めるとしている。

タジキスタン外務省によると、この攻撃は11月26日夜、アフガン国内から発射されたドローンを用いて行われた。

標的はタジク南部にある中国企業の作業キャンプで、被害にあったのはいずれも中国人労働者だった。

タジク側は両国間の国境地帯における治安維持や安定確保に努めてきたが、アフガニン領内に拠点を置く犯罪集団による越境行為が依然として続いていると指摘。今回のような「地域の混乱や不信を狙った破壊的行動」が実行されたとして、アフガン側に国境の安全管理強化を求めた。

一方、在タジキスタン・中国大使館は今回の事件を厳しく非難し、犠牲者への哀悼の意を表明。中国の投資や就業をタジク・アフガン国境地域で行わないよう警告するとともに、すでに従事している者には早急な退避を呼びかけた。

両国の関係は2021年のタリバン暫定政権発足後、悪化。タジキスタンはアフガンとの外交関係を断絶した。

しかし近年は、2023年に国境地帯の市場が再開し、今月初めにはタジク代表団が首都カブールを訪問するなど、関係改善の兆しもあった。だが今回の越境攻撃により、こうした和解の流れに水を差す事態となっている。

タリバンは声明で、「地域の安定と国際的信頼を乱す勢力による行為」と非難し、再発防止のためにタジク当局と連携する姿勢を強調。だが、具体的な加害者の身元や背後関係は明らかにされておらず、緊張は続いている。今後の合同捜査、責任追及、国境管理の強化が注目される。

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