◎タリバンは西部の街ヘラート、南西部のラシュカルガー、南部カンダハール州の州都カンダハールの一部に入ったと伝えられている。
アフガニスタンの現地メディアによると、タリバンの戦闘員は南部と西部の主要3都市を包囲し、政府軍に対する攻撃を開始したという。
タリバンは西部の街ヘラート、南西部のラシュカルガー、南部カンダハール州の州都カンダハールの一部に入ったと伝えられている。
米軍とNATO軍の完全撤退発表以来、タリバンは北部の国境付近を含む多くの地域を征服した。タリバンの攻撃を受けている地域の住民は政府軍の勝利を願っているが、敗れれば人道的危機に直面する可能性がある。
地元メディアによると、タリバンはイランとパキスタンの国境検問所を含むアフガニスタンの全領土の約50%を占領した可能性が高いという。
南西部ラシュカルガーに侵攻したタリバンの戦闘員は、州知事の事務所から数百メートルの地点まで攻め込んだと伝えられている。政府軍の司令官は声明で、「タリバンは7月30日の戦闘で多くの死者を出した」と述べた。
南部カンダハール州議会のグル・アフマド・カミン議員は英BBCニュースの取材に対し、「街はタリバンに征服される可能性があり、すでに数万人が避難し、多くの住民が人道的危機にさらされている」と語った。「戦況は時間と共に悪化しています。今回市内で発生した戦闘は過去20年間で最も深刻な被害を地域にもたらしました...」
カミン議員によると、タリバンはカンダハール州に臨時州都を設置したいと考えており、そこが征服された場合、政府は州の主要都市の多くを失う可能性が高いという。また、タリバンが民間人の多い地域を征服すれば、政府軍は重火器を使用できなくなると警告した。
西部ヘラートで活動している地元メディアは、タリバンの戦闘員が地域の主要地点に侵攻したと報じた。報道によると、ヘラートの少なくとも5つの地点で戦闘が勃発したという。
米軍は27日、アフガン軍を支援するために、軍用機とドローンを使ってタリバンを空爆したと述べた。標的は空港周辺の地区を占領したタリバンの基地と伝えられている。
EUのアフガニスタン特使であるトーマス・ニクラソン氏はロイター通信のインタビューの中で、戦争はさらに悪化すると信じていると警告し、「タリバンのイスラム首長国が誕生することを恐れている」と語った。
元イギリス軍のデビッド・リチャーズ将軍も、米軍とNATO軍の撤退はアフガニスタン軍の士気の低下をもたらし、「タリバンの強権的なイスラム支配と新たな国際テロの脅威につながる可能性がある」と警告した。
人道支援団体はAFP通信に、「タリバンは市民の命や生活より戦闘を優先しており、今後数か月間でさらに大きな人道的危機が発生する可能性がある」と警告した。現地メディアによると、食糧、水、電気、医療を含むあらゆるサービスが不足し、国内避難民のために設置された難民キャンプは過密状態になっているという。
アメリカ主導の連合軍は2001年10月のアフガン侵攻でタリバンを含むジハード軍を国外に追放した。この中には9.11同時多発テロの首謀者であるアルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
しかし、連合軍の激しい攻撃が続いたにもかかわらずタリバンは徐々に領土を取り戻し、最重要拠点のひとつと位置付けている北東部地域を7月初旬に征服した。
ドナルド・トランプ前大統領は昨年2月、タリバンと結んだ合意文書の中で、2021年5月までに米軍を撤退させると約束したが、ジョー・バイデン大統領は今年1月の就任時にこの期限を延長していた。米軍のアフガン軍事作戦は8月31日までに終了する予定。