◎内務省のタリク・アリアン報道官は声明で、「5月8日の爆破テロによる死者は現時点で60人以上、負傷者は150人を超えた」と述べた。
2021年5月9日/アフガニスタン、首都カブール西部の墓地、女子生徒たちの合同葬儀(AP通信/Mariam Zuhaib)

5月9日、アフガニスタンの首都カブール西部の女子校で発生した爆破テロの死者数は60人を超えた。犠牲者の多くは11歳から15歳の女子生徒と伝えられている。

内務省のタリク・アリアン報道官は声明で、「5月8日の爆破テロによる死者は現時点で60人以上、負傷者は150人を超えた」と述べた。西部地区は少数派のシーア派イスラム教徒が過半数を占める地域で、スンニ派過激派組織の標的にされている。

タリバンは攻撃を非難し、一切の関与を否定したうえで、攻撃はイスラム国(IS)もしくはそれに関連する別の組織と主張した。

アリアン報道官は女子校の外に停車していた車両が爆発し、下校中の女子生徒たちが巻き込まれたと述べた。「爆発物を詰め込んだ1台目の車両が爆発し、その後別の2台が爆発しました。死者はさらに増える可能性があります」

今回の爆発の正確な標的は分かっていない。専門家は米軍の撤退がアフガン政府および市民への暴力に拍車をかけると警告している。米軍は遅くとも9月11日までにアフガンから完全撤退する予定。

西部地区では2018年の学校爆破で34人が死亡し、同年9月にレスリングクラブで発生した襲撃では24人が射殺された。2020年5月の産科病院襲撃では妊婦と新生児24人が射殺、同年10月には家庭教師センターが襲撃を受け、30人が殺された。

スンニ派イスラム教のジハード組織は少数派のシーア派教徒を皆殺しにすると宣言している。西部地区で発生した攻撃はISもしくはそれに関連する組織によるものと信じられているが、正確な加害者はほぼ特定できていない。

2021年5月9日/アフガニスタン、首都カブール西部の墓地、犠牲者の多くが11歳~15歳の学生だった(AP通信/Mariam Zuhaib)

内務省のアリアン報道官はタリバンを厳しく非難したが、タリバンが関与したという証拠は提供しなかった。

現地メディアによると、爆破されたシェド・アル・シャハダ校は午前中に男子生徒の授業を行い、女子生徒は午後から通学するという。

西部地区ハザラ民族(シーア派)の指導者で国会議員のグラム・フサイン・ナセリ氏は9日、「政府はハザラ人を保護できなかった」と不満を表明し、地区独自の部隊を結成すると述べた。「私たちの部隊は学校、モスク、公共施設に配備され、政府の治安部隊と協力して取り締まりを行います」

ナセリ議員は、ハザラ民族の学校やモスクが狙われていることは明らかであり、部隊を配備する以外に治安を維持する方法はないと述べた。「政府はハザラ人に武器を提供しなさい。私たちは子供を殺されました。テロリストたちは何の罪もない新生児を撃ち殺し、妊婦を撃ち殺し、子供を爆弾でバラバラにし、私たちの家族を手当たり次第に殺します...」

AP通信によると、最初の葬儀はテロで死亡したハザラ民族の犠牲者が安置されている殉教者墓地で行われたという。

西部地区の住民の1人はAP通信の取材に対し、「私が見た犠牲者は全員女子生徒だった」と述べた。「女子生徒たちは折り重なり、山積みになっていました。腕や足も転がっていました...」

地元メディアによると、来週開催されるイド・アル=フィトル(ラマダーンの終了を祝う祭)に先立ち、女子校近くの繁華街は買い物客で賑わっていたという。女子生徒以外の市民も爆発に巻き込まれ負傷したと伝えられているが、詳細は明らかにされていない。

アフガニスタンの病院のプログラムコーディネーターを務めるマルコ・プンティン氏はAP通信の取材に対し、「数十人の負傷者がカブールの病院に緊急搬送され、その大半が12歳から20歳の女性だった」と述べた。

プンティン氏によると、今年の1月から3月の間に病院に搬送されたアフガン戦争の負傷者は昨年末から21%増加したという。

米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は先週、撤退が進むにつれてタリバンを含むイスラムジハード組織の攻撃は激しくなる可能性があると警告した。

2021年5月8日/アフガニスタン、首都カブールの病院(EPAP通信)
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