今回のテロ攻撃に対しアシュラフ・ガニー大統領は、タリバンや他の武装勢力に対する攻撃作戦の再開を指示した

12日午前、数人の武装集団がアフガニスタンの首都カブールにある産科病棟を襲撃、2人の新生児と出産を控えた母親12人、看護師たちが射殺された。

同日、東部ナンガルハール州で行われていた警察関係者の葬儀が爆破され、これまでに26人の死亡が確認されている。

マイク・ポンペオ国務長官は、「罪のない者に対するいかなる攻撃も許さない。乳幼児や女性、医療関係者への攻撃などもってのほか、最低最悪の行為である」とテロ攻撃を厳しく非難した。

また、葬儀という神聖な儀式への攻撃に対しても、「テロリストたちはそこに住む人々、地域社会の絆を切り裂こうと画策しているが、それは絶対に成功しない。今回のテロ攻撃を受け、アシュラフ・ガニー大統領は、タリバンや他の武装勢力に対する攻撃作戦の再開を命じた」と述べた。

内戦の続くアフガニスタンでは、血で血を洗う報復攻撃の連鎖が際限なく続いている。同国およびアメリカはタリバン他の武装組織に対し、攻撃の即時停止を呼びかけているが、事態は悪化の一途をたどっており、現状を打破する目途は全く立っていない。

ポンペポ国務長官は、葬儀襲撃の背後にいるのはIS(イスラム国)、産科病棟襲撃は調査中と述べた。なお、タリバンは関与を否定している。

産科病棟襲撃

ダシュテバルキ病院への襲撃は、12日の午前10時頃に開始された。惨状を目撃した地元住民によると、2度爆発が発生し、銃撃が始まったという。当時、病院内には約140人の医師、医療関係者、女性や乳幼児がいたとされる。

同病院の産科病棟は、国際医療慈善団体「国境なき医師団(MSF)」が運営しており、そこで働く者の一部は外国人だった。

攻撃の様子を見た医療従事者のラマザン・アリ氏はロイター通信の取材に対し、「攻撃者たちは理由もなく病院内の者に銃弾を撃ち込んだ。ここには治療を必要とする女性や子供がたくさんいた」と述べた。

同国の特殊部隊はBBCの取材に対し、3人の外国人を含む約100人の女性と子供を救出したと述べた。武装集団は警察官に扮して病院に入ったとされる。数時間におよぶ銃撃戦の末、容疑者たちは全員射殺された。

病院の裏側にあるゲストハウスには、多くの外国人スタッフが住んでいた。そこから非難した医師たちは、爆発を複数回見たと述べた。

過去、同地域で発生したシーア派に向けての攻撃の大半は、ISによるものだった。アフガニスタンの情報筋によると、南アジアと極東のグループリーダーが同日、カブールで逮捕されたという。

2017年に発生したカブール軍事病院へのテロ攻撃では、ISの武装集団が医師や医療関係者など約50人を殺害した。2019年9月には爆発物を詰め込んだトラックがザブル州の病院横で爆発、20人が死亡している。

葬儀襲撃

爆破テロに巻き込まれ難を逃れた生存者によると、何千人もの人々が東部ナンガルハール州で行われていた警察関係者の葬儀に集まったという。これまでに26人の死亡が確認され、68人が負傷した。

一方、バルフ州北部ではアメリカ軍による空爆で少なくとも10人が死亡、多数の死傷者が出たと報じられている。攻撃を受けたタリバンは、犠牲になったのは全員民間人だったと声明を発表。これに対しアフガニスタン国防省は、死亡したのは全員過激派組織のメンバーであると述べた。

2月、アメリカとタリバンの間で軍撤退の協定が結ばれた。しかし、アフガニスタン政府とタリバン間で行われた会談および囚人解放交渉は決裂し、再び戦闘が激化、現在に至る。

地獄のアフガン

世界最悪の環境下にあるアフガニスタン国内でも、新生児とその母親たちに対する今回の非道な攻撃は衝撃をもって伝えられている。

現在、同国でもコロナウイルスが猛威を振るっており、停戦を繰り返し求めてきた人々は希望を打ち砕かれ、絶望のどん底に叩き落とされた。

タリバンは、産科病棟および葬儀に対する攻撃への関与を否定している。これに対しガニー大統領は、タリバンや他の武装勢力への攻撃再開を指示した。和平会談の再開に向けて少しずつ歩を進めていると思われたが、今回の攻撃でこれまでの努力は雲散霧消したと心配する者も多い。

タリバンの約束を一度も信用したことのない者たちは、今回の非道な攻撃を怒りに変え、次の戦いに備える決意を固めたはずだ。

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