◎強硬派と穏健派は国の統治制度で対立している。
アフガニスタンの空港当局者は29日、タリバンの命令により女性はひとりで旅客機に搭乗できなくなったが、カブール国際空港は女性の一人旅を認めていると明らかにした。
女性は26日から男性の同伴なしで飛行機に搭乗することを禁じられた。
タリバンの強硬派は抑圧的な政策を推し進めており、女子生徒の中等教育禁止でも西側諸国の怒りに触れた。
カブール国際空港の高官は29日、AP通信のインタビューの中で、「女性の一人旅を許可している」と語った。この高官によると、タリバン政府の穏健派と対立する強硬派の命令の一部は無視されているという。
AP通信の取材に応じたもう一人のタリバン高官も、強硬派の命令が無視されていることを認めた。二人は匿名で取材に応じている。
アフガニスタン警察のモービン・カーン元局長も、すべての政府職員にあごひげを生やしターバンの着用を命じる省庁の新しい規則を批判した。あごひげは敬虔の証と見なされている。
カーン氏は「警察や政府機関があごひげを生やすまでの3カ月間、事実上閉鎖されるのはおかしい」とツイートしている。
ひげやターバンの着用を要求する命令は、1週間以上前に南部の中心地カンダハールで行われたタリバン指導部の会合後に相次いだ抑圧的な規則のひとつである。
一部の地元メディアは強硬派と穏健派の権力争いが激化する可能性があると報じている。
昨年8月の政権奪取以来、タリバンは国の統治にひどく苦労している。壊滅的な人道危機は政治不安を加速させ、イスラム国(ISIS)関連のテロ組織は地方都市で活動し続けている。
タリバンの指導部に精通している地元メディアによると、強硬派と穏健派は国の統治制度で対立しているという。
タリバンの第三代最高指導者であるアクンザダ師を中心とする強硬派は、1990年代後半の旧タリバン政権時代に戻りたいと考えている。
しかし、タリバンの若い世代やより現実的な高官は国際社会とのつながりを重視し、女性の就労や就学もイスラム教の解釈に沿ったものであると考えている。
女子の中等教育を禁じたのはアクンザダ師と伝えられており、この決定は国際社会とアフガニスタンの女性に衝撃を与えた。
これらの抑圧的な政策が今週イギリスが共催する仮想アフガン支援会議に影響を与えるかどうかは不明である。米国はドーハで予定されていたタリバンとの会談を中止した。
強硬派は国内線と国際線の両方で女性の一人旅を禁止し、さらに公園の利用に制限を設け、女性は男性と別の日に公園を利用するよう命じられた。
旧タリバン政権時代の象徴であるブルカ(目以外を覆うイスラム教のベール)の着用義務化には至らなかったが、タリバンの戦闘員は街中で女性に髪を隠し、黒いヒジャブを着用するよう警告している。
28日には悪名高い勧善懲悪省に入ろうとした職員が「あごひげが生えていない」という理由で帰宅を命じられたと伝えられている。
カーン元警察局長は、「勧善懲悪省は弾圧ではなく、国民の心をつかみ、失業者のために働くべきである」とツイートした。「国の現状を見なさい。優先順位を認識し、カブールのパン屋の前で物乞いしている何千人もの人々に食べ物を与えなさい」
国連の推計によると、アフガン国民の95%が食事を確保することに苦労し、女性世帯は100%にのぼるという。
世界食糧計画(WFP)は、「アフガニスタンでは女性世帯が最も多く、40年以上の戦争の結果である」と報告している。