◎この地震は数十年にわたる戦争、飢餓、貧困、経済危機に直面するアフガン国民とタリバンを追い詰める可能性がある。
国連は26日、アフガニスタン東部で発生した地震による子供の死者数は少なくとも155人にのぼると発表した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、パキスタン国境に近いパクティカとホースト州の被害が特に深刻で、子供少なくとも250人が重軽傷を負い、大半の住民が食料の確保に苦労しているという。
またOCHAは少なくとも65人が孤児となり、1人もしくは友達・知人と暮らしていると報告した。
国連を含む人道機関は被災者に食料、医薬品、その他の最低限の日用品を提供しているが、被災地では絶望が広がっている。被災者の大半が地震前からひどく困窮していた人々である。
パクティカ州郊外の村ガヤンの住民は頭を抱えている。
AFP通信の取材に応じた男性は、「瓦礫の中から息子と娘を含む家族12人の遺体を掘り出した」と語った。
ガランで教師として働く男性はAP通信の取材に対し、「言葉で説明することはとても難しい」と語った。「家族の遺体を回収し、供養し、埋葬しました...」
タリバンはこの地震による死者を1150人、負傷者を数百人と報告している。国連は死者数はさらに増える可能性があると警告している。
この地震は数十年にわたる戦争、飢餓、貧困、経済危機に直面するアフガン国民とタリバンを追い詰める可能性がある。人道団体は国際社会に強力な支援を呼びかけているが、欧米はウクライナ問題に付きっ切りの状態で、アフガンにほとんで手が回っていない。
米国とNATOの同盟国は昨年8月、タリバンの政権奪取を受け、援助をすべて停止し、アフガン中央銀行の海外資産を凍結した。
西側諸国はその後も制裁を積み重ね、銀行送金を停止し、外貨準備も凍結し、タリバンに女性の権利を含む基本的人権を尊重し、より包括的な統治を行うよう求めている。
タリバンはこの圧力に抵抗し、1990年代後半の旧政権を彷彿とさせる政策で女性や少女の自由を制限し、欧米の反発を招いた。
しかし、タリバンは現在、自分たちの限界を自覚し、国際社会に支援を呼びかけている。子供や女性を飢餓から守ろうとしてきた国連や国内で活動する人道機関は支援を開始している。
ユニセフは27日、地震後に家族と離ればなれになった子供を支援していると発表した。
またユニセフは震災で心に傷を負った子供のメンタルを支援する診療所を設立した。
しかし、国連は現在、アフガン支援に必要な予算を確保できず、約30億ドルの資金不足に直面している。当局は資金不足の影響で遠隔地に支援物資を運べず、復興はおらか、瓦礫の撤去すらほとんど進んでいない。
そのため、自宅を失った人々は人道機関の限られたテントに身を寄せ、自力で生活することを余儀なくされている。被災地のテントの大半は、地震前に設置されたものである。